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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年1月25日付け

 日本の競馬のG1レースで七勝するなど輝かしい戦績を残した、あのディープインパクトに待望の牡馬が生まれたという。ここであえて取り上げるのは、その母親がブラジル産馬だからだ。子は〃長男〃だという。ディープの三番目の子だが、牡馬だったから「日本の馬産界全体が待っていた――」という修飾がつく。めでたいのである▼日本の新聞に掲載されるブラジル関係の「名」は、フッチボール界において、がもっとも多い。このたびは、競馬界だった。各紙が軒並み取り上げた。ディープの子の母親はビーフェアー十二歳。新聞を見るまで知らなかったが、ブラジルのG1で三勝をあげた優秀馬、三歳牝馬のチャンピオンだった▼G1は重賞といわれ「G」はグレード(階級とか品等の意)の略、つまり、並みの馬は勝てないレースのことである。国が違うとはいえ、ディープは七勝、ビーフェアーは三勝もしていた馬だったから、特に牡馬誕生が注目されていたのである▼競走馬は、絶対的にといえるほど血統がものをいう。強い馬が出てくると、すぐ父親は、母親は、と云々される。今回は、母親はブラジル……と、強調された。出生した場所は北海道日高町の下河辺牧場。牧場には繁殖牝馬が約百頭、ビーフェアーは、期待の星だったという▼牧場主は「南米産の血が加わってどんな走りをするか楽しみ」と期待している。三年すれば、話題の子が走る。ブラジルの「名」がレースのたびに特筆されるかもしれない。(神)

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