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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年4月30日付け

 日本は五輪のたびにテレビの買い換えが進むと聞くが、ブラジルは何といってもサッカーW杯だ▼戦後初の1950年W杯ブラジル大会当時、国民の大半は雑音の多いラジオにかじりついて、固唾をのんで聞いていた。グローボTV局の創立が65年だから、初優勝を飾った58年ウエーデン大会、2度目の62年チリ大会も同様だ▼ようやくテレビが普及し始めた64年に軍クーデターが起きた。全国民が同時に、動くセレソンを見る感動を共有するのが70年大会の3度目の優勝だ。それまで地域ごとにバラバラだった放送体制が、これを機に衛星通信の全国中継が初めて行われた。テレビを通して「ブラジル国民」であることの自覚を深めた瞬間だった▼次の74年大会の2年前にはカラー放送が始まり、今では当たり前になったカラー受像機がW杯を弾みに広まった。その後、カナリア軍団はブラジル経済と共に長い沈黙期に入る。〃失われた10年〃だ▼そして再びセレソンが目を覚ましたのが94年米国大会の4度目優勝で、不思議なことにそれから経済も上向きになり、02年日韓大会の5度目優勝の頃から地上波デジタルTV放送の検討が本格化し、06年に日伯方式が採用され、6月11日から始まる南ア大会は当地初のデジタル放送で見られるW杯となる▼今大会ではすでにもう一歩先を行った立体画像(3D)で25試合が収録されるが、当地で生放送の立体画像中継を見ることは難しい▼でも次回14年大会は60年ぶりのブラジル大会。必勝を義務付けられたセレソンのプレーは、立体画像でチェックされるから気の抜けない試合になるに違いない。(深)

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