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日本語アナは67歳の新人=リ・ピーレスのラジオ局で企画、放送=丹治さんすぐに人気=「やりがい感じます」

ニッケイ新聞 2008年3月8日付け

 今年の移民百周年にちなんで、サンパウロ州リベイロン・ピーレス市にあるFMラジオ局「ペロラ・ダ・セーラFM」が地元日系人を対象にした番組、「プログラマ・ニッケイ」の放送を始めた。担当アナウンサーは日ポ両語堪能な日系二世の丹治幹男さん(67、リベイロン・ピーレス市在住)。リスナー(聴く側)の要望に応えながら、日本の歌、地元の日系著名人や専門家を招いての対談、地域の日系イベント情報などを幅広く紹介し、人気を集めている。
 もともと日本の歌謡曲などを流すだけの番組を二年ほど前から続けていた同局。今年の移民百周年に着目し、この機に番組内容を充実させようと企画した。地元紙の広告を通じて日系人アナウンサーを募ったところ、「面白そうだ」と興味を持った丹治さんが応募。即決で採用された。
 企画から取材、放送、スポンサー探しも全て丹治さん一人で行う。協力を地元の日系商店に持ちかけると、「コロニアのために頑張ってくれ」と多くの励ましの言葉が寄せられた。広告も予想以上に集まった。
 放送時間は毎週土曜日午前七時から九時まで。各邦字紙や地元伯字紙が掲載する日系人関係の記事紹介ほか、歌、ゲートボール大会や日系人の法事案内など、何でも放送している。リスナーの要望に応えるのが人気の秘密だ。
 最近ではブラジル移住した元在日中国人女性を祖母に持つ女性から「中国語の歌を流して欲しい」と頼まれ、曲探しに奔走。「結局中国で研修した私の娘がポップを持っていることがわかってそれを流しました」と笑う。
 また六歳の日系の女の子からは、「おじいちゃんが今度八十八歳の誕生日を迎えるから、おめでとうと番組で言って欲しい」と頼まれている。
 このほか各分野で活躍する日系人専門家へのインタビュー対談にも力を入れている。三月一日の放送では、リベイロン市在住の日系人デレガードを招いて、昨今のデカセギ事情などを論議、好評だったという。
 サンパウロ州リンス市の出身。幼少期から日本語に親しんだ。サンパウロ市で三十五年にわたり会計士として働き、定年後は娘や新聞記者の息子と一緒にタウン紙「イミグランテ新聞」をポ語で発刊。日本人移住者などを取材し、四年間発行した。
 「アナウンサーなんてしたこともありませんでしたが、やりがいを感じる」と丹治さん。今後は「地域に暮らす日本人移民を招いて苦労話などを語ってもらいたい」と話している。
 同番組はリベイロン市、リオ・グランデ・ダ・セーラ市、スザノ市の一角などで、FM92・5で聞ける。問い合わせは同局(電話11・4824・5989)まで。

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