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貧しきに育ちし少女の金メダル荒みし国に五輪の光=第68回全伯短歌大会結果発表=45人参加し歌作り楽しむ

大会参加者の皆さん

大会参加者の皆さん

当日、一生懸命にアイデアをひねり出す皆さん

当日、一生懸命にアイデアをひねり出す皆さん

 第68回全伯短歌大会(椰子樹、ニッケイ新聞共催)が4日、文協ビル内のエスペランサ婦人会サロンで開催され、例年並みの45人が参加し、一年振りの歌友との再会を楽しみつつ歌作りに励んだ。

互選得票

【三一票】
さりげなく席譲り去る若者に託してみたしこの国の未来(さき)<鎌谷昭>
【二六票】
病む我に混血の孫日本語で「ガンバレ」と言い手を握りしむ<志村とく>
くり返しまた読み返す亡き母のカナ文字ばかりで綴りし手紙(ふみ)を<中島すず子>
【二二票】
それぞれの歴史を秘めてさりげなく歌にいそしむ人ら静けし<木村 衛>
【二〇票】
連れ立ちてバス停にゆく下り坂膝病む妻をいくたびか待つ<谷口範之>
【一七票】
古稀迎う人種の坩堝のブラジルで小さきよろこび歌に詠みつつ<金谷はるみ>
この身病み手入れ怠る庭の蘭季をわすれずにつぼみふくらむ<川上定子>
この国に大和言葉を忘れじと歌を詠みつぐ同胞の居て<富岡絹子>
子等育て米寿迎えし母の手は骨ぶし太く指は曲がりて<早川量通>
南米に生まれし子らに本籍地伝えて逝きし移民の父は<伊藤喜代子>
【一六票】
白寿まで永らえたしと思えども命は天にゆだね生きゆく<古山孝子>
路急ぐ君は知らずや草蔭にひそかに咲ける花の心を<峰村正蔵>
春の野に過ぎゆく刻(とき)のかげ落し浮雲ゆったりゆったり渡る<小濃芳子>
経済も政治も闇のブラジルのスポーツ祭典無事終われかし<橋本孝子>
【一五票】
容赦なく降りし雨いま静かなる流れとなりて路の端(は)に寄る<多田邦治>
【一四票】
子等家族おぞうに食べに集い来る伝統続くおふくろの味<石井かず枝>
身の丈に合いし生活か顧みて悔いも誇りもほどほどにして<武田知子>
子や孫が養国に伸び希望ある夢見てくらす老いの倖せ<須賀徳司>
土愛し農一筋に生きし父母尊き姿永久(とわ)に忘れじ<遠藤幸雄>
願わくばポ語が自由に話せたら孫来るたびに思いて暮らす<新井知里>
【一三票】
さっさっと歩きたいのに歩けない青信号は点滅始む<川久保タミ>
孫等去り夕日に映えるブランコは明日もおいでと静かにゆれる<遠藤幸雄>
老い母を囲む団らん初耳の話とびだし大笑いせり<杉田征子>
手話かわす母に抱かれし幼児が無心にうたうメトロのなかに<小池みさ子>
思い出は秘密の小箱にそっと入れ時々出してはひとり楽しむ<千田修子>
【一二票】
戦いの世を知る吾等皆老いて孫等の時代平和を祈る<酒井祥造>
高層のビルが隠した夕焼けを返してほしい昔のように<内谷美保>
気楽にて暮らせば何処も良き国で文化の違いは心磨けり <金城ヤス子>
あえぎては休みてはのぼらん九十八の坂の上なる花を求めて<崎山美知子>
【十一票】
アングラの水澄む浜辺にねそべりて仰ぐ大空九十一の春 <山田かおる>
吾を見上げ吾子は涙をためていき銭なく玩具を買えざりし日に<谷口範之>
一人暮らしなれたと友に言いつれどうつろなる日のたびたびありて<中島すず子>
青々と大豆の茂る平原に真っ赤な太陽昇る雄雄(おお)しさ<早川量通>
実家(さと)の庭春陽の中に静まりて藤の花咲く主はなくとも<徳力洋子>
おたがいが空気のごときあけくれにふとよぎりたり独りとなる日々<山元治彦>
【一〇票】
チグリスもユーフラテスも血なまぐさしメソポタミアはかく滅びけん<上妻博彦>
笠戸丸の航海日誌の終ページ「全員無事」と水野龍の文字<水野昌之>
屋根を打つ雨の音無きアパートに住みて真昼の雨に気付かず<杉田征子>
口にして言わねど心にうつろあり妻逝きてより黙し勝ちなる<酒井祥造>
オバマ氏の折りし鶴たち広島ゆ核なき国に飛び立たんとす<金谷はるみ>
【九票】
若草の妻と二人で新墾(にいばり)に夢を育てし外(と)つ国の春<神林義明>
老いし身も家族(うから)の言葉に励まされ白寿まではと新に思う<原 君子>
ふりむかずがむしゃらに生き卒寿越ゆ余生を歌にささえられつつ<山田かおる>
若き等は言葉発せず黙々とスマホを操作バスを待つ刻<畔柳道子>
高々と両手を上げて満月をつかみとらんと孫とたわむれ<鈴木静枝>
タンポポが歩道の割れ目咲いている生きる胃の戸の貴さを知る<近行 博>
夏時間も今日で終わりと寝る前に孫は老婆の時計遅らす<川上定子>
【八票】
開拓地の初期に犠牲となりし墓ずらりと並ぶ幼児の名前<水野昌之>
転ぶとも起くればよしと言いきかせ軽く鞭打ちゆっくり人生<坂上美代栄>
夫逝きてひとりとなりし家うちに見るものなべて想いで探し<富樫苓子>
訪日の味も知らずに八十年よくも生きたり短歌と共に<梶田きよ>
先人の夢を託したこの大地望み叶えし子孫らは栄えし<松本正雄>
【八票】
苺狩りジャムにしようか子にやるか悩みつ帰る夕焼けの道<鈴木静枝>
豪快に降る夜の雨雷鳴のたびに寂しく街が明るむ<多田邦治>
戦争の怖さ風化は尚怖しオバマ氏解くや核無き世界<藤倉澄湖>
ヒロシマにオバマは恩讐越えんとすわれも裡なる「戦後」を了えん<山元治彦>
【七票】
見下ろせば小さく貨車は走り行く生活のせて草原の中<寺田幸恵>
一歩二歩とわれを見つめて歩みよる甥子は一歳今日誕生日<酒井文子>
すいすいと吾を追い越す盲ありもたもた目あきおかしからんや<坂上美代栄>
申年が七回めぐり健やかな齢(よわい)重ねて生きる幸せ<青柳ます>
住む国と故国の国花咲く里に余生委ねて晴耕雨読<湯山 洋>
運転も慣れし女孫と寺を訪うその母逝きて五度(たび)「母の日」 <武地志津>
一枚のうつし絵たより夢を抱き海を渡った我が人生よ<吉田五登恵>
大臣も議員もなべて超富裕国庫ばかりに大穴があり<山岡秋雄>
けんかすることもなくなり老い夫とテレビ見ており寝ながらにして<青柳ます>
望郷の空にまたたく十字星北斗の下は我が故郷よ<新井慶子>
病みあがり息子の後ろ姿の夫に似てしみじみ思う年老(ふ)りたりと<千田修子>
子も孫も丈夫に育ちブラジルで第二の故郷金婚の年<興梠太平>
おとずれる息子の顔は黒光るはるかアマゾンで船人の道<松村光江>
【六票】
夫に来し賀状はどれも旧き友それぞれ元気と嬉しい便り<杉本鶴代>
悲しみが濾過されてゆく過程にて母の遺影に両手を合わす<青柳房次>
勇気ある行動と思うオバマ氏の広島訪問短かけれども<寺尾芳子>
海また海こえて来たりし祖父母らの移住史しのび浜の道ゆく<阿部玲子>
いつの日か子のアルバムに残るわれのせめて穏しき笑みをとどめたし<崎山美知子>
子や孫と親戚知友に祝いうけ生きた歩みのジヤマンテ婚<亀井勇壮>
ニッケイの短歌俳句に励まされ我は生きてる八十九才<横沢幸子>
遠い畑の老いが没り陽におじぎする日本人に違いなかろう<小野寺郁子>
故郷の父母の石碑に手を合わせ話して詫びて心安らぐ<阿久沢愛子>
天災に人災たえぬこれの世のいずちに行かば楽土のありや<梅崎嘉明>
雪のごと光る白髪持つ媼(ひと)に黒髪の美に勝る美見たり<足立富士子>
混血の子に言い聞かす道徳感優れし民の血を引く君らと<高橋暎子>
彼岸会に逝きし歌友(とも)あり佳き日なり貴女の命日忘ることなし<原 君子>
堪えがたき暑さに憩うパパイヤの樹蔭涼しくしばしまどろむ<矢崎嘉兵衛>
「お早よう」と手を振ってゆく人のあり日課のおちば掃き出す私に<畔柳道子>
旱魃に苦しみし地よノルデステの街に明るしサンバのパレード<阿部玲子>
「お元気で!」と別れきし姉弟「またね」というには遠きふるさと<滝谷久子>
病床で痛みにたえつ思う事同じ胃がンで逝きし親父を<亀井勇壮>
【五票】
流氷を見むと二世子(にせいこ)旅立ちぬ苦労のかけらも持たぬ顔して<長井エミ子>
移り来て永の旅路もやがて来る残せし歌をわが墓標とせん<鎌谷 昭>
街角に亡夫の植えたる桃色のハイビスカスは満開に咲く<富樫苓子>
選ばれし人らの欲は限りなく豊穣の地は荒寥に満つ<木村 衛>
それぞれの風息子らは持ち帰りそれぞれの風わが上に吹く<中野豊子>
菜園に孫が手植えしホーセンカ朝日を浴びて競い咲きおり<松本安子>
難聴ゆえ風の吹くのも知らざりき覚めて驚く庭の散乱<川久保タミ>
日本着も嫁(こ)孫にわけてすがすがし米寿を祝う今日のよろこび<川上淳子>
潮騒を耳(じ)にし偲ぶこの海のこの水寄する里の白浜<三宮行功>
年寄れば日本食がおいしいと作る妻あり吾果報者<湯山 洋>
この冬はなんともさびしい冬でした旅立ち逝きし友多くして<山田節子>
広島で核兵器なき世界へと愛と自信のオバマメッセージ<吉峰倫子>
「七つの子」歌えば山にまぼろしの孫いるごとく思えてうたう<中野豊子>
さみどりの草木を縫って蝶舞えりヘリコプターが空をゆるがす<後藤弥生>
かくまでに人間(ひと)の命は軽きやもテロルに果てし骸道辺に<宮城あきら>
我が人生に悔いはなしコチア青年花嫁としてほこりに思う<吉田五登恵>
【四票】
亡き弟によく似た物言いする医師の処方の薬は信用して飲む<小野寺郁子>
ふるさとの訛なつかし移住祭そを聞くが為来しにあらねど<富岡絹子>
若き日は箸もつけざる焼き茄子を好み変りてメニューに入れる<川上淳子>

題詠「五輪」(ニッケイ新聞社出題)

秀作が続々と生まれた短歌大会の様子

秀作が続々と生まれた短歌大会の様子

一位=貧しきに育ちし少女の金メダル荒みし国に五輪の光<高橋暎子>
二位=五輪旗のはためくリオの春の風東京までも海越えて吹け<富岡絹子>
三位=貧困や差別に耐えてつかみとる柔道五輪のラファエラの金<小池みさ子>
四位=より高くより速くと競いつつ五輪は世界を一つに結ぶ<寺田幸恵>
五位=躍動す若さの生命に魅せられて我も若やぐブラジル五輪<作者不詳>
六位=この国の明るき未来を示すがに五輪の旗は高くはためく<山元治彦>
七位=鍛え抜き時得てリオに花開く五輪選手の美しき技<金谷はるみ>
八位=とやかくに言われし五輪つつがなく終わりて国の威信高まる<梅崎嘉明>
九位=南米で初めて開くリオ五輪聖火は燃ゆる冬空の下<藤田朝寿>
十位=若者のきたえぬかれた肉体と技がはじける五輪清しも<徳力洋子>

「独楽吟」

「あをによしならのみやこは咲く花のにほふがごとく今盛りなり」の「今盛りなり」を詠みこんで作品を作る
1位=若者も子供もみんな手にスマホ ポケモン探し今盛りなり<吉峰倫子>
二位=海越えて赤き大地に根を張りし七月の桜今盛りなり<堀合昇平>
三位=十人の孫らおのおの集い来て傘寿の宴は今盛りなり<山元治彦>
四位=毎朝の散歩の途次に親しめる紅イペーは今盛りなり<住谷 久>
五位=冷えゆるむプラタナスの道若芽立ち春の息吹の今盛りなり<高橋暎子>
六位=わが庭に仲良く並ぶ二本の樹イッペーとさくら今盛りなり<山田かおる>
七位=亡夫の植えし我家の庭の蔦サンジョン見事に咲いて今盛りなり<酒井文子>
八位=健康を保つと歩く道の辺に藤の花ぶさ今盛りなり<上妻泰子>
九位=支払いはカードに限ると世は変り今盛りなり猫も杓子も<瀬尾正弘>
十位=新緑のレモンの枝に白き花香り放ちて今盛りなり<阿久沢愛子>

「アベック歌合わせ」

一位=春陽炎ゆらぐむこうに見えるのは君の家なりいざ訪いゆかん<金谷はるみ・藤田朝寿>
二位=又来ると交せし握手のぬくもりをそっと包みし心ほのかに<高橋暎子・平間浩二>
三位=追いすがり告げたき想いこらえつつさりげなく行くあてなき道を<小池みさ子・木村 衛>
四位=おはようと毎朝われに声かけし鍬持つ君のたくましき肩<富樫苓子・酒井祥造>
五位=咲き盛る藤の下にて君待てば吾の心も花咲くごとし<寺田幸恵・酒井祥造>
六位=この道を歩けばきっと逢えそうなきっと逢えるよ恋の道だよ<吉峰倫子・瀬尾正弘>
七位=夕茜広がる空に想い出は入り日とともにおぼろとなりぬ<崎山美知子・山元治彦>

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