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躍進するセラード・コーヒー=土づくりから取り組み  著名「カルモ・シモサカ」=カルモ・ド・パラナイーバ=入植35周年祭を11月に

ニッケイ新聞 2008年5月15日付け

 「セラードコーヒー」で有名なミナス州カルモ・ド・パラナイーバの、入植三十五周年祭が十一月八日に行われることが決まった。同地へのセラード開拓の先発隊の一人、下坂匡(ただし、71、福島県出身)さんによれば、ユバ・バレエ団の記念公演も決定したという。市役所の応援で、今回も無料で一般市民に見てもらうようにする方針。前回の公演では二千人も集まった。下坂さんの生産するコーヒーは、主として日本に輸出され、「カルモ・シモサカ」として著名。略奪農業から土を育てる農業に転換した成果の模範的存在だ。
 同地には一時、日系四十家族がいたが、現在は十七家族ほど。主にコーヒー生産などに従事しており、畜産や雑作も行われている。
 下坂さんは五六年に転住し、最初の一年七カ月をコロノとして働き、サンパウロ州ジャーレスで十八年間コーヒー作りをし、七三年に現在の地に入植した。
 市外を含めた下坂農場全体ではコーヒーだけで四百ヘクタール、百六十万本を植えている。大豆やトウモロコシを六百ヘクタール、養鶏三万羽と「西村俊治さんに教えてもらった多角経営を実践している」という。
 「カルモ・シモサカ」ブランドで日本を中心に輸出しており、百四十八店舗で取り扱われている。二十年経つ東京店「プランチップ」(荻窪、阿佐ヶ谷)を筆頭に郷里の福島県いわき市でも直営店がある。五年前からは中国・上海店「カルモ・コーヒー」を開店した。
 「二級品(高級品)にこだわっています」との通り、一万五百俵(各六十キロ)の中で「カルモ・シモサカ」に値する二級品は八%しかないという。残りはブレンド用だ。
 下坂さんは「コーヒーといえば百年前はモジアナ周辺、その後ノロエステ、パラナ、今のミナス、バイーアと変遷してきた。土地の肥沃さに任せて肥料をやらない過去の農業と違って、我々はセラードでは土地作りから取り組んでいる」と違いを語り、三十五周年を経てなお土地が衰えていないことを強調した。

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