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来月5ヵ所で『響ファミリー』恩返し公演=笑って、泣いてもらえる舞台を=コロニア育ちだが大衆芸能、日本で〃磨き〃

ニッケイ新聞 2008年5月30日付け

 「コロニアのみなさまに恩返しの気持ちです」――。六月八日のサンパウロ公演を皮切りに、里帰りチャリティーショー(国際交流基金後援)をおこなう大衆演劇劇団『響ファミリー』の響彬斗座長は、そう意気込む。日本移民百周年を記念したもので、六月二十一日にサンパウロの式典会場で開かれる記念パレードにも山車に乗って出演。サンパウロ、ブラジリア、グァタパラ、マリンガなどで特別公演を開く。
 日系三世の座長・響彬斗(ひびき・あきと・26)さんは二歳の時、日系ブラジル人の父親らとブラジルに移住。弟の一真さん(22)といっしょに、花柳寿美富代師匠のもとで日本舞踊などを始めた。三味線、剣戟、歌、和太鼓、一人芝居をこなし、幼少期からコロニア芸能祭に毎年出演するなど、文字通りコロニアが育てた芸人だ。
 寿美富代師匠は「響兄弟には天から授かった才能がある。そして愛嬌と素直さは小さい頃から何も変わらない」と愛弟子を称える。「一座の日本での成功は私たちの大きな喜びです」。
 彬斗さんは〇一年に日本に行き、〇五年に同劇団を設立。老人ホームなどへの慰問から始まり、現在は全国各地のホテルや文化会館などを忙しくまわるなど、活躍の幅を広げている。昨年、コロニア芸能祭にも出演。本格的な里帰り公演は今回が初めてだ。
 「響ファミリー」の舞台は、しっとりとした女形の舞いや立ち役、股旅物、喜劇やおかめ、ひょっとこ、カラオケなど幅広く、飽きさせない。公演では彬斗さんの妻で、一座の響悠嘉(ひびきゆか)さんも出演する。
 ブラジル公演の目玉は、数ある演目のなかでも、「花魁道中」と「無言劇」。とくに無言劇は「言葉のわからない人にも楽しんでもらいたいから」とつくられた一座のオリジナルで、役者の感情を、顔の表情と動きで見事に表現。その演技力の高さに、来場者は惹きこまれるはずだ。
 また「花魁道中」と「連獅子(れんじし)」は、寿美富代師匠の先生である寿美雄師匠(日本在住)が、一座に直接振付けを指導したもの。他の演目に比べ、古典的に表現される。
 サンパウロ公演での子連れ狼の演目では、舞踊家の吉武久登さんが立ち回り役で出演。寿美富代師匠はじめ、花柳流なでしこ会の門下生、戸塚バレエ教室の生徒らも友情出演する。
 「私たちにとって里帰りであり、恩返しの公演。笑いあり、涙ありの舞台を楽しんで頂きたい」と彬斗座長。弟の一真さんと今回が二回目の来伯という悠嘉さんは、「来てくれた人たちが笑顔になってもらえれば」と話した。
 サンパウロ公演の入場料は十五レアル。その他の公演に関する問い合わせやチケットの申し込みに関しては、響ファミリーサンパウロ事務所(11・3207・6626/3208・6404)まで。
 http://www.hibikifamily.com/index2.htm(響ファミリーホームページ、ポ語有り)。
 【公演スケジュール】
 六月八日=サンパウロ(文協大講堂)、同十五日=サンパウロ(コロニア芸能祭・アニェンビー大講堂)、同十九日=ブラジリア(下院議員連邦議事堂)、同二十日=サンパウロ(日本週間・アニェンビー大講堂)、同二十一日=サンパウロ(移民百終演式典記念パレード・サンボドロモ)、七月六日=グァタパラ(文協会館)、同十一・十二日=マリンガ(カリン・アダッド市立劇場)、同二十七日=帰国。

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