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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年6月11日付け

 毎日食べているコメが先月、倍近く値上がりした。アルゼンチンが輸出を制限したのが主たる理由だといわれる。東洋系が好んで食べる炊飯できるコメは、国産も増えているし、あまり関係がないのでは、と思われるのだが、例外ではなかった。元値が高いだけに、値上げ分の数値も高い▼もう一つの理由に生産資材の値上がりがいわれている。それにしても、一〇〇%近く上がるとは…、「レアル前」の悪夢をみているようだ▼実は、当初、値上がりの主因は、ア国の輸出制限よりも、国際的な穀物価格の高騰、つまりその一環なのではないか、と想像したのだが、どうやらはずれた▼ブラジルはコメの輸入国で、売ってくれるほうの施策がかわれば、いたく影響を受けることがはっきりした。そのブラジルが、日本にコメを輸出している。加工食品向けだ。先月末、日本の厚労省が、「輸入したブラジル産米からメタミドホスを検出した」と発表した。聞いたことのある名である。先に日本が輸入した中国産ギョーザから出てきた殺虫剤ではないか。ブラジルの場合は「故意混入」でないことははっきりしている。使用量が日本が定めている基準量より多かったのであろう▼それにしても、食に関しては、輸出入の当事国同士のぎくしゃくから品質のことまで、目を放していたらエラいことになる。価格高騰、貧国の飢餓の影響が先進国に及ぶのは少し先かもしれないが、影響し出せば混入毒剤の話などは、小さいといわれるかもしれない。(神)

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