ホーム | 日系社会ニュース | 百周年モニュメント完成=カルモ公園=皇太子さま 市長と記念植樹=絹谷さん「心臓震えるほど嬉しい」

百周年モニュメント完成=カルモ公園=皇太子さま 市長と記念植樹=絹谷さん「心臓震えるほど嬉しい」

ニッケイ新聞 2008年6月25日付け

 東京の彫刻家、絹谷幸太さん(34)製作による百周年記念モニュメント「夢と感謝(SONHO E GRATIDAO)」の落成式が二十日午後、皇太子さまご臨席のもと、サンパウロ市東部のカルモ公園で行なわれた。ジルベルト・カサビ市長はじめ、絹谷さんなど同プロジェクトの日本側関係者、地元、サンパウロの日系団体関係者など数百人が訪れた。
 同モニュメントはセアラ州産の紅い花崗岩の周囲に日本産の白花崗岩六個を配置した石の彫刻群。約十六メートル四方、総重量は約百トンに上る。
 絹谷さんは〇三年に文化庁新進芸術家海外留学制度により一年間、ブラジルに滞在していた。同プロジェクトは日伯交流年認定事業で、ブラジルから石を日本へ運び、製作にあたってきた。
 オーケストラによるクラシック演奏の後、皇太子さまは午後二時四十五分頃、公園にご到着。記念セレモニーで絹谷さんは、日本移民の歴史を称えるとともに、二年間のプロジェクトを振り返り支援者へ謝意を表した。日本側実行委員会発起人の原田明夫さんも、日本移民への敬意と、ブラジル国民の友情へ謝意を表した。
 カサビ市長は、皇太子さまご臨席のもと落成式が行なわれたことに喜びを表し、同彫刻を「日伯の友情を表すシンボル」と述べた。
 地元小学校、サウーデ日本語学校、ピオネイロ校、カリタス学園、マテ・デ・マジスタ校などの生徒百人により彫刻を除幕。その後、皇太子さまは市長とともに、絹谷さんから説明を受けながらモニュメントの間をまわられ、来場者へ声をかけられた。
 松原トクさん(98、東京)は、カルモ日本人会創立者の一人、松原勝利さん(故人)の夫人。一メートルほど前を皇太子さまが通られた。声をかけられることはなかったが、「お顔を拝しただけでも嬉しかった」と、涙を浮かべていた。
 皇太子さまは市長とともにモニュメントの記念碑前に黄イペーと桜の苗を植樹され、次のご予定に向かわれた。
 式典後、モニュメントの周囲には市民が集まり、新しい憩の広場を満喫していた。
 サインと写真を求める人が次々と訪れる中で、絹谷さんは「はじめは小さな夢だったのがどんどん大きくなり、みんなの夢になって実現しました。日系人の方々への感謝の気持ちが製作の原動力。心から尊敬の念で作りました。皆さん喜んでくれて、心臓が震えるくらい嬉しい」、涙で目を真っ赤にしながら喜びを語った。
 サンパウロ大学ご訪問の歓迎委員長、カルモ公園では司会を務めた二宮正人さんは「ブラジリアでもお会いしたし、お声もかけていただいた。両方ともつつがなく終えたことに感無量です」と充実した様子だった。

image_print