ニッケイ新聞 2008年7月3日付け
JICAシニアの置き土産――。サンパウロ州柿生産者協会(牛腸修二会長・ピラール・ド・スル市)はこのほど、同協会がおもに出荷する富有柿やぶどう、銀杏など十一種類の果実の栽培方法や注意点などを紹介した、特製カレンダーを作成した。A5サイズ(縦八十六センチ、横五十六センチ)、オールカラー、七百部発行。同協会は、カレンダーの希望者に安価で譲りたいと呼びかけている。
カレンダーは同協会に所属した浦田昌寛JICAシニアボランティアのアドバイスをもとに制作。美味しく、安全、きれいに果樹をつくる技術方法のエッセンスを凝縮し、剪定、施肥、防除などの時期別の管理作業が一目でわかるようにした。同協会生産者の果樹園で撮影した果実の写真を大きく使っている。
カレンダー作成にあたり、肥料・農薬・農機具メーカーや地元有志、サンパウロ市やカンピーナス市の中央卸売市場の果実店舗などがスポンサー協力。カレンダーに広告を掲載した。
同シニアの送別会とカレンダーのお披露目を兼ねた食事会が六月二十八日、ピラールの文協会館で開かれ、シニアに指導を受けた約三百人の農業関係者やその家族が駆けつけた。遠方からはバイーア、ミナス、サンタ・カタリーナ各州などからの参加もあった。
あいさつで牛腸会長は、同カレンダーに触れて「ブラジルにはこれまでこのタイプのマニュアルがなかった。コストを削減しながら、高品質の果実の生産を拡大するポイントが紹介され、生産者、消費者ともに大きなメリットがある」と称えた。
浦田シニアは、「日本のカレンダーに負けないデザインと内容。このカレンダーをもとに消費者であるブラジル国民に喜んでもらえる素晴らしい果実の生産に努めて欲しい」と話した。
ピエダーデ市で、富有柿などを栽培する益田照夫さんは、近年ドル安レアル高で、肥料などの生産資材が高騰、国内の果物生産者が厳しい経営を強いられていると説明。こうした中、同カレンダーはまさに時期を得たものと称賛した。
カレンダーの購入希望者は、同生産者協会事務所(電話・FAX=15・3278・3589)、またはEメール(appckaki@appckaki.com)まで。
なお同シニアは今月二日、任期を終え帰国した。