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『致知』創刊30周年=7月号で小野田氏対談=「ブラジルの方も参加して」

ニッケイ新聞 2008年8月21日付け

 【藤崎康夫=東京支社長】「人間学を学ぶ」月刊誌として知られる『致知』(東京・致知出版社)が、創刊三十周年を迎える。〃人間本来の英知を明らかにし、現代人に欠ける知行合一の精神〃を語る本誌の誌名由来は、中国の古典『大学』に出てくる言葉「致知」からとったものだ。
 本誌について稲盛和夫氏(京セラ名誉会長)は、「人生のみならず経営の成功不成功を決めるのも人の心です。人の心に焦点をあてた編集方針を貫いていることで『致知』は際立っています」と語る。
 七月号特集では、「わが生を貫く」をテーマとして小野田寛郎氏と明治大学名誉教授・大塚初重氏が対談。
 小野田氏はルバング島(フィリピン)で、残置諜者として戦後も戦い続け三十年ぶりに帰国。翌五十年にブラジルに移住し牧場経営。その後小野田自然塾を設立した。
 日本は経済的に裕福になったが、追い詰められて子供たちの姿に衝撃を受け、自然塾を設立した。これまで延べ二万人が参加したとのことである。ブラジルからサントス・ドゥモン章を受け、南マット・グロッソ州名誉州民でもある。
 大塚氏は八十二歳。戦時中、輸送船が二度撃沈されて漂流。復員後、働きながら明治大学夜間部で学び、考古学の第一人者となった。登呂遺跡をはじ数々の遺跡を発掘した。「不撓不屈」という言葉を噛締める対談となっている。
 同誌の読者の会「木鶏クラブ」は国内外で活躍。「ブラジルの方々も、ぜひ参加し、人間について語ってほしい」と、同誌関係者は語る
 渡部昇一氏(上智大学名誉教授)は「よりよい自己にしようという意志をもった人たちが読む雑誌です」と語り、また岡田武史氏(サッカー日本代表監督)「決断に迷っている時など、何度も同誌に助けられた」という。

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