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期待高まる日伯関係=官房長官に河村元文科相

ニッケイ新聞 2008年9月26日付け

 麻生太郎首相の右腕、内閣官房長官に就任した河村建夫・日ブラジル会議員連盟幹事長(内閣府特命担当大臣・拉致問題担当も兼任、山口県第3区)は、新内閣の中で最もブラジルと長く関わりを持つ人物。
 同県選出の故・田中龍夫元文部大臣の秘書として、同氏が会長をつとめる日本海外移住家族会連合会(海家連)事務局長を担当していた当時、訪日した多くのコロニア団体代表が顔を会わせている。
 九五年の日伯修好百周年や、移民九十周年、今年の百周年で来伯した同議員連盟訪問団に同行するなど、度々ブラジルを訪問。〇一年には友好親善に貢献したことが認められブラジル政府から「南十字星章」を受章した。両国有識者による「日伯二十一世紀協議会」では日本側座長をつとめた。
 山口県人会の平中信行会長は「田中龍夫(海家連)会長の秘書をしていた時代からよくしてもらっている」と当時を振り返る。「日本を訪れた時は、わざわざ時間を作って会ってくれる。来伯された時は、半時間でも時間があれば県人会館に顔を出して、関係者と話をしてくれるし、時間がない時は、空港の待合室などでも話をするような人で、県人会として大変近いお付き合いをさせていただいている」とその人柄を語った。
 「移民や環境の問題に関する話をよくしている。山口県から内閣に入られると、いつもブラジルに関係する人たちが多いので、しっかり頑張ってほしいですね」と弾んだ声で話した。
 前県人会長で、現在顧問の西村武人氏は河村氏の自宅を訪れた経験もあり、二十年来の付き合いだという。今年の六月に来伯した時に歓迎会を開催している。
 「すごく外国のことに興味があり、若者は外国と付き合っていかないといけないという考えを持っている人。人的交流を特に重視している」と印象を話し、「日本人の強くて誠実な部分を前面に出して頑張ってくれるでしょう。ブラジルにいる日系人約百五十万人も応援していることでしょうから」とエールを送った。
 「ブラジルの窓口みたいな人だったし、穏健で真面目な人だった」と印象を語るのは、県連会長時代に何度も顔を会わせている網野弥太郎県連顧問。「移民九十周年の時にも会ったし、一番印象深いのは九〇年代前半に在外選挙の時にお願いに上がった時」と昨日のことのように振り返り、「小渕恵三元首相、渡辺美智雄元外相がいなくなってから、ブラジルとのつながりが薄くなってきていたから、今回の選出は良かったのではないか。これをきっかけに日伯関係が活性化してほしい」と嬉しそうに期待を込めながら話した。
 元県連会長の中沢宏一宮城県人会長も訪日した際は何度か会っているという。「温厚で誠実な人で、良い方だった」と感想を語り、「一世のよりどころでもある移住家族会に関わっていたから、ブラジルの日系社会に一番近い人ではないだろうか。すごいことだし、今回の選出により日伯が近くなってほしい」と期待を表した。
 文協会長時代に日伯両方で会っている山内淳氏は「印象は穏やかだが、芯がしっかりしているし人当たりが良い」と話し、「最近は短期内閣になっていることが多いから長期内閣になって、日伯交流活性化に期待したいですね」と語った。

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