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【記者の目】=百周年未払い金問題=何故しない? 中間報告=総責任者上原理事長「知らない」の一点張り

ニッケイ新聞 2008年10月25日付け

 「知らない」「言えません」「他の人に任せてます」「みんな一生懸命やってますから」―。本紙が今月七日付けで報じた三百万レアルの未払い金に関する百周年協会の会計問題。ブラジル日本移民百周年協会の上原幸啓理事長を二十三日に取材したが、冒頭のような空虚な言葉が返ってくるばかり。「出来るだけ早く発表しますから」と繰り返す上原理事長に期限を問うと、「それは分かりません。みんなで決めます」
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 華やかだった百周年式典から、四カ月以上が経過した。その余韻もほぼ消えた十月末の現在、いまだに会計結果がコロニアに発表されていない。
 今月四日の同協会理事会後、本紙の取材で三百万レアルの未払い金があることを明らかにしたものの、「二、三日中にはっきりさせるから、(記事化は)待って欲しい」と話した森口イナシオ副理事長、松尾治執行委員長。
 しかし、二、三日どころか三週間が経った二十四日現在、何の連絡もないことを読者に伝えておこう。
 式祭典・日本週間などの会計を扱うOSCIPの中矢レナット理事長の秘書も「まだ会計はできないみたいです…発表できる時になったら、連絡します」と口は重い。
 同協会が入金を待っているのは、政府関係機関からの支援金。情報筋の話によれば、サンパウロ市からの支援金は、二十六日の選挙後には払われるとの話もある。が、三百万のうち、半分にも満たない額だ。
 個人での支払い義務が発生するのを中矢理事長が危惧している、との噂が漏れ伝わってくることから、支援金の見込み違いがあるのかとの不安の声も聞こえてくる。
 何しろ何も同協会から情報が出てこないのだから、そんな疑問が湧くのも、仕方がないといえよう。
 海外日系人大会に出席、十六日に帰伯した百周年協会の最高責任者である上原理事長に二十三日、取材した。
 何故、現況を報告しないのか、できないのなら理由は何か。今回の会計問題に対する団体のトップの考えとは―。
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 「何も話したくない。それぞれのグループでやっているから、彼らに任せている」。記者が質問を切り出すと、即座にそう返答した。いつもの柔和な表情は曇り、口調も厳しい。
 「日本人の美徳として、『倫理、道徳、尊敬』が大事だと思っている。彼らに対する尊敬として、私が何か言うことはない」と断言し、記者の質問、取材時間さえも、「意味がない」と言い切った。
 百周年のために協力したコロニアへの報告義務を怠ることは、尊敬を欠いているとはいえないかー。
 「ですから、全体報告は来年になるでしょうけど、中間報告はします。政府のお金はタイミングが難しいから…。でも、みんな寝ずに頑張ってますよ」
 来週は十一月。時期はいつになるのか。トップの責任として、中矢理事長や会計担当者に報告させる義務があるのではないか。四日の理事会で、七月以降の事務所経費なども報告されず、会計担当理事も欠席していた。
 「一人一人のやり方がある。どういう形でやるかはそれぞれの権利」
 そういう(権利をはき違えた)考え方は、(上原理事長が)言われていた「オープンさ、トランスパレンシア(透明性)」に反するのでは。
 「寄付で頂いたお金は、一文一文大事に使ったことを誓います。一日も早く発表します。お金のことは口でいいたくない。彼らにも文書で伝えます。私も心配してます」 (剛)

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