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レジストロ=百周年記念事業を完遂=7番目の「鶴」と通用門落成=豊田さん=「作家人生最高の作品」

ニッケイ新聞 2008年12月25日付け

 レジストロ日本移民百周年記念事業の目玉、七連作最後のモニュメントの「鶴」(豊田豊氏製作)と、バスターミナルに建設された和風通用門(Portal)の落成式が十四日に挙行された。主催はレジストロ市役所と同市ブラジル日本移民百周年祭実行委員会。これで市と一体になって進められてきた同地の記念事業は完全に遂行された。
 バスターミナルで午前九時三十分、文協のリベイラ涼風太鼓が「喧嘩屋台」と「絆」を演奏して式典が始まり、造形作家の豊田豊氏による作品「鶴」の落成式が行われた。このモニュメントは豊田さんが「日本移民ゆかりの植民地」レジストロにブラジル日本移民百周年を記念して建立した第七番目、最後を飾る作品だ。
 式典にはクロヴィス・メンデス市長、那須野英男同市移民百周年祭実行委員長、豊田さん、ニウトン・ジョゼ・ヒロタ・ダ・シルヴァ市会議長、サムエル・モレイラ・ダ・シルヴァ・ジュニオール州議会議員、清水オリジオ・レアル銀行役員、清水ルーベンス・レジストロ文協会長、佐々木悟RBBC会長、山村敏明リベイラ沿岸日系団体連合会会長、サンドラ・ケネデイ・レジストロ次期市長を始め多数の来賓と、約五百人の市民やサンパウロから駆けつけた豊田さんの友人等が参加した。
 赤く塗られたモニュメント「鶴」は高さ二メートル。羽の長さが七メートル、頭から尾まで六メートルで、台座の高さは六メートル。重さは一・五トンで、古い精米機械、製茶機械の約千五百の部品で作られている。「鶴」はあたかもレジストロの町を訪れる人々を上から温かく迎えているようである。これ等七つのモニュメントの建設費用はレアル銀行が援助した。
 最初に那須野祭典委員長のあいさつがあり、レアル銀行、豊田さんを始め、市の移民百周年記念事業に協力した全ての人々に感謝の言葉を送った。
 その後、シルヴァ市会議長、豊田さん、清水役員、サムエル州議があいさつ。最後にクロヴィス市長は、市の為に金銭を抜きにして七つの記念作品を心を込めて作成した豊田さんにお礼を述べ、資金の協力をしたレアル銀行、その他の協力者に感謝の意を表した。
 そして法令で同銀行の清水役員が「レジストロ市の公認客員」として認定されたことを伝えた。この記念塔には次のような豊田さんのメッセージが記されている。
 「百周年が終わって、新しい百年が始まる…。笠戸丸が長い月日を費やした航海中、船の上空を鶴が舞っていた事を信じます。美しい鶴は、日本移民がブラジルの新天地で平和、健康、富、長寿が与えられる様悠々と飛び回っていたことを信じます。(中略)包容力のあるブラジル国民に迎えられ、平和の中に愛が育まれ、信仰や文化の異なる、数多くの民族が人種差別も無く混じり合い、愛と平和をもって美しい歴史を作りました。叡智と尊敬の念をもって、ブラジルが永遠に幸せな国家である様に祈っています。有り難う!ブラジル」
 豊田さんは「七つのモニュメントを設置することが出来てホッとしています。これ等の作品は私の作家生活で最高の作品と自負しています」と感想を述べた。
 午前十時半、ターミナルで通用門(Portal)の落成式が行われた。これは連邦政府の観光省の資金によるもの。高橋国彦建築士のアイデアで建設された日本建築風の幅十メートル、高さ十二メートルの堂々たる門だ。青少年達が力強く打つ和太鼓が響き、観衆の拍手の中、十台のバスが次々に門を抜け、くぐり初めをした。
 二つの落成式の終了後、市ブラジル日本移民百周年祭実行委員会、文協、RBBC合同の忘年会がRBBC会館において賑やかに行われた。席上、今年文協が慈善バザーで得た純益が市内の社会福祉施設六団体の代表者に手渡された。
 (金子国栄さん通信)

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