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コロニアと百年前を感じたい=『劇団笠戸丸』17人が着聖=「ボクノフルサト。」7日から

ニッケイ新聞 2009年2月6日付け

 「百年前をコロニアの人たちと一緒に感じ合いたい」――。劇団笠戸丸(山南純平代表)の十七人が五日午前、熊本県から海をわたってブラジルの地へやって来た。移民百周年を機に結成され、メンバーの八割が二十代前半という若さ溢れる同劇団。上演作『ボクノフルサト。』では、移民の父と言われる上塚周平の人生を軸に、第一回移民船笠戸丸の移民が日系社会を築き上げていく過程を表現し、将来の日伯関係のあり方をも問う。七日の弓場農場を皮切りにプロミッソン(十日)、ピラール・ド・スル(十三日)、サンパウロ市(十五日)の四カ所で公演する。ニッケイ新聞社主催。

 「移民の人たちが計り知れないほどの人生を歩んでこられたと思うと、言葉にならない。私たちなりに百年前を演じたい」―。熱い想いを胸に、五日午前、『劇団笠戸丸』の一行が着聖した。
 『ボクノフルサト。』は、同劇団のオリジナル作品。田中瞳さん(21)が資料を読んだり様々な人から話を聞きながら、百年前に想いを馳せて書き上げた大作だ。
 第一回移民船笠戸丸が神戸港を出発してから百年と一日後の昨年四月二十九日に熊本で公演した。その後、山南代表と田中さんは八月に来伯視察し、「納得のいかなかったところを直した」という。
 「笠戸丸、上塚周平、移民」をテーマにした海を渡った群衆劇。「コロニアの人は違うって思うところもあるかもしれない。だけど、私たちの劇を通して、一緒に百年前を感じ合いたい」と田中さんの思いは熱い。
 劇団員は十八から二十四歳までの若者がほぼ八割。同公演のために特別に結成された。演出家の山南代表を筆頭に、それぞれ他の劇団に所属する学生、社会人、バイトをしながらプロを志す演劇人の集まりだ。
 上塚周平を演じる田中幸太さん(23)は大学四年生。「上塚は日本という小さい島国から飛び出して、ブラジルというでっかい大地にもう一つの日本を作りたかったんだと思う。スケールのでかさ、一生懸命大きな夢を描くところを演じたい」。
 偽装結婚をしてブラジルに渡り、苦労しながら子供を育てる強い母を演じるのは梅田真耶さん(20)。「笑いあり、感動あり、喜びと苦悩の人生を描いています。ぜひ観てもらいたい」と話す。
 山南代表は、「ここで公演できること、それ自体が凄いこと。コロニアの人たちにぜひ観に来て欲しい、それと同時に勉強させてもらいたい」と意気込みを見せた。
     ◎
 『ボクノフルサト。』公演日程は次の通り。▼弓場農場(七日午後七時半)、▼プロミッソン市立劇場(十日午後七時半)、▼ピラール・ド・スル文協(十三日午後七時)、▼ブラジル日本文化福祉協会小講堂(十五日午後二時)。
 文協小講堂であるサンパウロ公演の協力券(十レアル)は、ニッケイ新聞社または次の場所で取り扱っている。
 明石屋宝石店(11・3208・1833)、文協事務局(11・3208・1755)、老ク連事務局(11・3209・5935)、熊本県人会(11・5084・1338)。
 問い合わせはニッケイ新聞社(11・3208・3977)まで。

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