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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年9月4日付け

 〃歴史的な選択〃と騒がれる総選挙に隠れて、地方選挙も行われた。中でも最近珍しい五選を決めた橋本昌茨城県知事はブラジルにも縁の深い人物として関係者に知られている。網野弥太郎元県連会長は「確か来伯五回を数え、自治省の課長時代からブラジルとの交流に尽力してくれた人物です」と評す。知事として茨城県人会館の改築にも協力している▼ブラキチ内閣が崩壊したとはいえ、今年一月三十日に小渕優子内閣府特命担当大臣が所管する「定住外国人施策推進室」から発表された対策は、デカセギ開始以来初の本格的な外国人受入れ施策であり、帰国費用支援の条件を巡って少々ゴタゴタした部分があったことを差し引いても、十分に評価に値するものだった▼民主党の視野には在外日本人や在日他国籍者は存在しないらしく、日系社会との関係や外国人市民をどう考えるかなど、マニフェストを読む限り一行も記述はない▼グローボ・サイトが伝えるように、公約の中にある「製造現場への派遣を原則禁止する」などは、どのように在日ブラジル人に影響するかがまったく見えない。まさか工場から外国人労働者を追い出すことはないだろうが、「派遣労働者の雇用の安定を図る」という言葉には、(日本人の)という文字が先頭に隠されている可能性がある▼さらに「独立行政法人、公益法人の徹底的な見直し」の部分では国際交流基金やJICA、海外日系人協会、日伯中央協会などの両国の重要な架け橋となっている組織の去就に影響を与えそうだ▼民主党には、日伯交流協会の元理事長、藤村修衆議もいる。悪いように転がらないと、切に期待したい。 (深)

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