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真の国際人育成めざし=岡山NPO「ももたろう海外友好協会」=カンポ・グランデ文協と提携結ぶ=ブラジル人教師派遣も検討

ニッケイ新聞 2009年12月18日付け

 岡山県のNPO法人(非営利団体)「ももたろう海外友好協会」(枝松孝典理事長)と、OSCIP(公益免税団体)「カンポ・グランデ文協」(南マット・グロッソ州、知花幸重ベルナルド会長)がこのほど、パートナーシップ協定を結んだ。「現状の仕組みを利用して、NPOとOSCIP間でこういう取り組みができる。日伯のデカセギ子弟の教育モデルになる画期的なパートナーシップにしたい」と関係者は意気込んでいる。

 先月23日、岡山県から高山一則・同NPO理事が来伯、同文協を訪問し調印を行った。
 今後、同NPOが運営する「エスコーラ・モモタロウ岡山」へブラジル教職免許を持つ人材を送り、またブラジル政府認定の教科書を送るなど、デカセギ子弟の教育の向上を目的に協力してゆく。
 同文協は「Escola Visconde de Cairu」を古くから運営しており、教育への感心が高いことで知られる。
 急な提案にも関わらず、臨時役員会を開いて即決し素早く対応した。知花会長は、「私たちも何かの形で協力したい。日伯でパートナーシップを結んで、一つの目的に向かって取り組むのは素晴らしいこと」と話す。
 ブラジル人学校のエスコーラ・モモタロウは、岡山県総社市に2008年3月に開校。日本語とブラジル教程の授業を半日ずつ行い、派遣会社、雇用会社、父兄が一緒になって運営している。
 私塾扱いのため、税制面の優遇措置など国や自治体の公的支援が得られず、経済危機後、親の契約更新打ち切りなどで、40人ほどいた生徒は10人に激減、さらにブラジルに戻る教師も出て、学校の運営も危ぶまれていた。
 だが今月初め、平成21年度補正予算の「定住外国人の子どもの就学支援事業」を受けて文部科学省によって設立された「子ども架け橋基金」の認可が正式に下り、来年から向こう3年にわたり年1500万円の支援を受けることが決まった。
 同パートナーシップはその資金を利用して進められるという。
 来年3月には、駐日ブラジル大使館のルイス・アウグスト・デ・カストロ・ネーベス大使が視察訪問予定。ブラジル政府も、日伯のNPOとOSCIP間パートナーシップに高い関心を示しているようだ。
 今月7日、山中イジドロ氏と一緒にニッケイ新聞を訪れた高山理事は、「親が働き詰めで子供が学校に行かず非行に走ったケースをいくつも見ている。私たちは教育する義務がある」と話し、「しっかり日本語とポルトガル語で教える体制を整えられれば、日伯で子供たちの抱えている問題が減る。日伯でメリットがある」と説明する。
 両者を繋いだ山中氏は、「いまある制度を利用して、NPOとOSCIPで協力してできることをするだけ。法改正みたいに難しいことをしているわけじゃない」と強調し、「合同で国際人を育成できるパートナーシップに成長して欲しい」と語っていた。

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