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「さんしんの日」今年も賑わい=沖縄県人会=音楽、民謡、舞踊に太鼓=約1千人が郷土の芸能満喫

ニッケイ新聞 2010年3月17日付け

 ブラジルの沖縄芸能を一挙に発表する「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」芸能祭が7日午後、サンパウロ市の沖縄県人会館で開催された。5回目となる今年は各団体からのべ500人が出演して、音楽、舞踊、太鼓など20演目を多彩に披露。終日500人近い人が会場を埋める盛況を見せた。
 伝統楽器の三線(さんしん)にちなみ、母県沖縄で毎年3(さん)月4(しん)日に開催されている同イベント。ブラジルでは野村流音楽協会、野村流古典音楽保存会、琉球民謡協会、琉球民謡保存会の古典・民謡4団体が共催、筝曲、舞踊、太鼓など6団体が協賛して開催した。
 在那覇ブラジル名誉領事の西原篤一氏(沖縄ブラジル協会長)、1993年に「さんしんの日」を発案した生みの親、上原直彦氏(琉球放送プロデューサー)からも祝辞が寄せられた。
 開幕合同演奏に続いて挨拶した知念直義実行委員長は、今年に入って古典音楽をはじめる若い二、三世が増えてきたと喜び、さらに「こうして各団体・各流派の先生方、門弟が一堂に公演することは、親睦と技の向上にも役立つと確信する」と述べた。
 後援した県人会の与儀昭雄会長は「三線は笠戸丸以来、移民が携えてきた大事なもの。100年を経てブラジルでこれだけ盛んになるとは、先輩たちは夢にも思わなかっただろう」と話し、各団体の教師、生徒らに感謝、さらなる協力を求めた。
 舞台では「首里節」や「綛掛之踊」など古典音楽・舞踊に続いて、民謡協会、民謡保存会の会員らがそれぞれ約40人で三線を手に沖縄民謡を歌い、盛り上げ。
 舞踊では各琉球舞踊道場の子どもや少女たちによる踊りも多く、会場を和ませた。
 今回はアララクアラからも金城節子琉舞道場の生徒が来聖し、カンピーナスの同道場生徒とともに出演。県費留学生OBの斉藤悟さん(3世)と同道場の生徒たちも出演し、元服前の若者たちの踊り「若衆ゼイ」を披露した。
 当日は、県人会が調査を進めている200年以上前の作と見られる三線なども展示され、来場者は興味深げに足を止めていた。担当する宮城あきらさんによれば、昨年に続き2回目の展示。質問する人もあり、「前回より関心が高まっているように感じる」という。
 最後にはブラジル滞在中の民謡歌手、堀内加奈子さんと3世の大城ビットルさんによる「民謡ショウ」、琉球國祭り太鼓と続き、カチャーシーでフィナーレを迎えた。
 県人会元会長の宮城滋さん(78)は、「こうしたイベントを通じて若い世代が沖縄の文化に関心をもってくれれば、ブラジルの沖縄芸能の発展、県人会の発展につながると思う」と話した。
 サンパウロ市ビラ・カロン在住の女性(70代、2世)は、「いいですね」と感想。この日は、民謡演奏に出演する孫の応援に訪れたという。「まだ始めたばかりだから」と目を細めていた。

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