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ブラジルの良さを教育現場に=JICA中部=現職教師7人が来伯視察=聖市で帰伯子弟と懇談も

ニッケイ新聞 2010年8月7日付け

 JICA(国際協力機構)中部が実施している教師海外研修プロジェクトで、先月30日から7人の現職教師がブラジルを訪れている。在日ブラジル人が集中する日本の中部地域で国際理解教育に関心を持つ教師を対象とした同プロジェクト。サンパウロ研修として3日午前、帰伯したブラジル人生徒数名が在籍する市内ビラ・プルデンテの小・中・高一貫校パントージャ校を州教育局の日野寛幸理事と共に訪問した。

 同プロジェクトの目的は、「ブラジルを肯定的に受け入れること」「日本人とブラジル人の繋がり、また心の繋がりの共通性を探ること」「両国が持つ誇りと課題を見つけ出し、協力しながら共通の課題を乗り越えていくこと」の3つ。
 4回目となる今回は「アマゾン」「日系社会」「デカセギ」をテーマに、13日まで15日間、サンパウロ、ベレン、トメアスを視察する予定だ。
 パントージャ校の訪問では視察団と、同校に在籍する帰伯子弟、親らが出席して意見交換が行なわれた。
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 日本国内で習慣や文化の違いによって生じた日本人とブラジル人の摩擦はテレビを始めとするメディアで度々取り上げられている。
 また、ブラジル国籍児童が日本の教育機関に馴染めず、いじめにあったり、登校拒否になるケースも少なくない。
 ブラジル生れで3年前に帰伯した井上カオリ(12)、チエミさん(9)姉妹は祖父母が一世ということもあり、日本でもブラジルでも日本語にあまり不自由しなかったという。帰伯後も祖父母との会話、教会などに通うなどして流暢な日本語を保つ。研修員に熱心に帰国子女としての苦労話や学習内容を語っていた。
 日本生れ、日本育ちの鈴木エイミ(12)、ケイジ(9)、次男リュウジ(8)さんの兄弟は1年前に帰伯した。同席した母あゆみさん(32)は、「この学校は公立学校でありながら、高い教育とともに帰伯した子供への手厚い指導が受けられると聞いていたので入学させました」と同校に入学させた経緯を語った。しかし、ブラジル国内の治安の悪さに不安は隠せないという。
 同校では週1回、帰伯生徒を対象にした心理カウンセリングを行っている。カウンセラーの坂口グラウシアさんによれば、直接的な表現が多いポルトガル語に対し、間接的な表現をする日本語で、文化的なギャップが起き、帰伯生徒の不安を煽っているという。
 しかし、カウンセリングを受け続けるうちに多くの生徒は自信を持つようになり、ブラジル生活にも馴染めるようなったと彼女は胸をなでおろす。
 ジュリア・マセド副校長は、帰伯子弟は勉強熱心で、常に学校行事に積極的に参加しようとし、他の生徒の見本となるような素晴らしい人材と誉めた。
 視察終了後は、研修生からパントージャ校へ日本の菓子類や中部地方の土産が贈られ、一同が「ドラえもん」の主題歌を披露した。
 愛知県豊川市立中部小学校で教壇に立つ池田昌代教師は、「ブラジルの生徒たちは大変エネルギッシュで個性に溢れています。ブラジルで見たことを帰国後、日本の生徒たちに伝えたいと思います」と感想を述べた。
 視察を終えて帰国する研修生らは9月から12月にかけて、各学校で研修報告を発表し、年内までに教材を作製する予定。
 また、来年2月には中部地区で『開発教育・国際理解教育実践フォーラム2011』を一般公開し、ブラジルの良さを伝えるという。

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