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東京農大会「常磐松ブラジル会館」命名祝う=松田理事長ら迎え除幕式=海外の卒業生と連携を

ニッケイ新聞 2010年9月17日付け

 ブラジル東京農大会(大島正敬会長)の会館がこのほど正式に「常磐松ブラジル会館」と名づけられ、7日、来伯中の松田藤四郎・東京農業大学理事長を迎えプレート除幕式が行なわれた。当日は理事長のほか、亜国で開催される汎米校友大会出席の途上で20人以上の校友・関係者がサンパウロを訪問。午前中に慰霊祭、午後は同会館で歓迎会が催され、サンパウロ州、パラナの校友ら約90人でにぎやかに一日を過ごした。

 農大会の会館は2004年にアクリマソン区から現在のサウーデ区に移転。以来6年間、正式な名称はなく、便宜的に農大会館と呼ばれてきたが、このたび、松田理事長のブラジル訪問を機に「常磐松ブラジル会館」と名づけられた。同名称は、1898年に移転した同大校舎が渋谷の常磐松御料地の中にあったことに由来する。
 理事長ほか、戸神重美校友会長、豊原秀和副学長、高橋久光学部長など日本の校友と家族、知人らが来伯。6日には移住者が到着したサントス埠頭を訪れたほか、日系3団体への寄付も行なった。
 午前中は、杉野忠夫・農業拓殖学科初代学科長、千葉三郎第4代学長、同窓生らを追悼する慰霊碑を訪問。碑のあるグアルーリョスの墓地で物故者の慰霊法要が営まれ、日伯寺の石川聖教開教使の読経の中、一人ひとりが焼香した。石川さんは「伝統を守りながら創造する」ことの大切さを説き、「手づくりの墓所で毎年法要を続ける農大生の縦と横のつながりに、その理念を感じる」と述べた。
 その後会館に移動し、正午過ぎに松田理事長、戸神校友会長、ブラジル側の大島会長、高松浩二相談役の4人で入り口に設置された新名称のプレートを除幕。続いて階上のサロンで昼食会が開かれた。
 最初に挨拶した大島会長は、「ブラジルは今日独立記念日だが、農大にとっても会館に由緒ある名前を付けてもらった目出度い日。皆さん旧交を温めてほしい」と述べ、一行を歓迎した。
 在職15年目、7回以上ブラジルを訪れているという松田理事長は、「海外の卒業生を激励するために何ができるのか考えている。来ると皆がブラジル中から集まってくれる」と笑顔を浮かべる。今回は車椅子を使いながらも在伯校友の前に元気な姿を見せた。
 席上、「サンパウロまで来て先輩に挨拶なく素通りするのは失礼。皆さんに会えて嬉しく思う。健康に留意して長生きするようにしてほしい」と挨拶。さらに「卒業でおしまいでなく、海外で働く卒業生と農大との連絡を」と述べ、同大についても「世界に羽ばたく農大の実現に努力したい。これからも協力を」と呼びかけた。
 校友会に属する卒業生は累計14万5千人に上るという。11年ぶりに来伯した戸神会長は、「生物系の総合大学として世界的規模」と母校を紹介し、「これからも先輩の活動を援助しながら大学発展に努力していきたい。引き続きご支援を」と話した。
 大島会長から理事長、校友会長に記念のプレート、歴代会長からブラジル訪問への感謝と喜びを詠んだ漢詩、荒木克弥元会長から理事長にローヤルゼリーを贈呈。原島義弘理事のリードで学歌を斉唱後、小沢寅男常務理事の発声で乾杯、食事に移り懇談した。
 訪問団の一員で、広島県因島市長を務めた岡野敬一さん(59、拓殖15期)は夫人と参加。「杉野教授の墓参りが出来てよかった。ブラジルの皆さんは元気。私も頑張らないと」と話していた。

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