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ブラジル社会に貢献する日系活動=自閉症療育学級の発表会=「暗闇を脱しつつある」=涙をボロボロ流す母親

ニッケイ新聞 2010年12月8日付け

 どこの学校でも問題児扱いされて行き場のなかった我が子が、元気に一輪車を乗りこなしてキチンと挨拶して退場する姿を見て、会場のかぶり付きで涙をボロボロ流す母親の感動的な光景も見られた。サンパウロ日伯援護協会(森口イナシオ会長)のサンパウロ自閉症療育学級「青空学級」(PIPA、菊地義治代表)が4日午前、援協福祉センターの多目的ホールで第5回発表会を行った。今年から日伯友好病院横に移転して生徒も8人に増え、ブラジル社会に貢献する日系活動のモデルとして注目を浴び始めている。

 11歳の一人っ子ギリェルメくんの母マリア・アリッセさんは、我が子が自閉症だと医者から診断された時、「目の前が真っ暗になった」と語った。「親との普通の関係すら作れない。家族中が不安になり、全てを彼に合わせて修正しなければならなかった」。
 幾つもの学校に通わせたが、「どこでも差別的な待遇を受けた」と辛い過去を語る。教室で誰にも相手にされずに放っておかれた。「まったく希望を失っていた家族にとって、PIPAはポルト・セグーロ(安全な港)だった」。
 空港のレストランでナイフとフォークを使って食事をする息子を見て、「この子は〃暗闇〃から脱出しつつある」と確信し、「家族全体の生活の質が向上した」と振り返る。「これは真摯な事業だ。この活動を支える援協に心から感謝したい」と涙ながらに感謝した。
 8人の生徒は一年がかりの練習成果を披露した。ローラーブレード(パチンス)、一輪車、竹馬などの運動神経が必要なものに加え、YAMAHAから寄付された電子ピアノ、和太鼓などの演奏も発表され、両親や兄弟らは本人以上にハラハラしながら見守っていた。在校年数が長いほど態度が落ち着き習熟しており、教育効果がはっきり現れていた。
 特に演劇「ブレーメンの音楽隊」で、途中でセリフを忘れた子供が泣いて退場しそうになるのを先生が落ち着かせ、無事最後まで演じきった時には、会場中から大きな拍手が沸き起こった。
 羽藤ジョージサンパウロ市議(次期州議)は「まるで人生の教えそのもの、俊逸な事業だ。ブラジルはこの分野で学ぶべきことがたくさんある。日系がこの国に貢献できるプロジェクトだと確信した」と高く評価した。
 神谷牛太郎サンパウロ市議も「何も説明する必要はない。ここにいる全員がすでに感動を共有しているはずだ。子供たちを社会に統合させる愛の事業といえる」と演説した。
 田村幸重元下議の息子の嫁・田村エウザ美恵子さんと田村鋼材社の役員・下石(しもいし)とよこさんは、「素晴らしい事業、無関心でいられない」と寄付金を手渡した。
 サンパウロ州福祉局長代理、ルシアノ・デ・カンポスさんは「薬を使わない生活療法の効果に驚いている。家族の満足そうな顔が全てを現している。州としても協力していく」と申し出た。
 菊地代表は「みなさんの協力でなんとかここまでこれた。今後もよろしくお願いしたい」と呼びかけ、子供たちから来場者全員に一枚一枚、Xマスカードが配られた。

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