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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年1月12日付け

 10日のルッピ労働大臣の移民史料館訪問を取材しながら、文協には日本からは首相や大臣クラスが続々と立ち寄るが、現役の大物ブラジル人政治家が来ることは極めて稀だと気付いた。唯一の例外の大臣級要人は斉藤準一空軍総司令官か。文協に来たのはもちろん、幾つもの日系団体の式典にも顔を出してくれている。ちなみにパラナ州では百年祭にはアレンカル副大統領、90周年にはFHC大統領が出席した▼現役の非日系政治家となるとサンパウロ州知事は文協に来たように記憶するが、大臣クラスとなると記憶にない。『文協50年史』をひっくり返しても移民70周年(78年)の移民史料館落成式にガイゼル大統領、皇太子殿下(現天皇陛下)をお迎えしたのと、文協創立25周年式典にカミロ・ペナ商工大臣が出席したというのが目立つ位か。同商工大臣の祖父が笠戸丸到着当時のアフォンソ・ペナ大統領で、本人も大の親日家として知られる▼文協がより一般社会に開かれた存在になるために史料館は素晴らしい〃顔〃になる。訪日した大物ブラジル人政治家の写真展を企画し、現役の大臣クラスにテープカットしてもらったらどうだろう。日伯にまたがる出来事をテーマにしたブラジル人や二世・三世向けの展示も興味深い▼多くの日系団体が百周年の機会に従来の日本頼りの姿勢を改め、市役所や日系政治家との距離感を縮めた。文協もこれからは首都ブラジリアとの関係を深めることが一つの方向性になる。日系社会を代表して中央政界や官僚とのつながりを深め、高い目線からコロニア全体の問題解決にまい進することこそ、今後のあり方ではないか。(深)

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