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パナソニック=ミナスで初の白物工場起工=来年末から市場に本格参入=松田社長「戦いはこれから」

ニッケイ新聞 2011年3月2日付け

 パナソニックは2月28日、ミナス・ジェライス州南端のエストレマ市で新工場の起工式を行なった。来年末に完成予定で、これまで輸入のみで販売されていた冷蔵庫ほか、洗濯機を製造し、マナウス工場の電子レンジ生産のみに留まっていたブラジル白物家電市場に本格参入する。パナソニック・ド・ブラジルの松田雅信社長によると、新工場への投資金額は2億レアルになり、年間で冷蔵庫約50万台、洗濯機20万台を製造し、今後国内市場のシェア10パーセントの獲得を目標としていく。

 起工式にはエストレマ市のルイス・カルロス・ベルガミン市長、在リオ総領事館の永島隆治領事、パナソニックホームアプライアンス社冷蔵庫ビジネスユニットの内田好昭ユニット長、製造革新本部の小西行製造担当理事、パナソニック台湾の中谷明弘社長、松田社長、HOSS建設の鈴木ヴァグネル社長らが出席し、鍬入れ式等が行われた。
 あいさつに立った松田社長は、「ブラジル白物市場開拓は長年の懸案事項だったが、ついに本格参入ができる」と述べ、「韓国勢にも同様なプロジェクトがあると聞くが、国際企業としてこれまでにも各国で事業を展開してきた。州、市の協力を信じてやっていきたい」と意気込みを表し、誘致に際してのエストレマ市の協力に感謝の言葉を語った。
 内田ユニット長は同工場について中国、アジア以外でのはじめての白物の生産工場と説明し、「日本、台湾、ブラジルの連絡を密にしてブラジルに合った製品を提供していきたい」と述べた。
 ベルガミン市長は「エストレマはミナス州の玄関。そこに世界のパナソニックが来てくれた。雇用も生れ市役所も強くなる。これから長い付き合いになるだろう」と歓迎の思いを表した。
 大手企業がシェアの大半を占める白物市場。冷蔵庫の相場は1千レアル前後だが、現在パナソニックは台湾工場からの輸入品を約5千500レで販売し、対象はAクラス富裕層のみに留まっている。
 韓国のLG社も新工場の設立の動きがでてきており、松田社長は「安くしないと勝てない、実際の戦いはこれから」と表情を引き締める。
 新工場では千人近くが働くことになる。基礎技術が整ったサンジョゼ・ドス・カンポス工場同様、サンパウロ市から110キロ程の近い距離にあることも同市を選んだ大きな魅力となった。
 パナソニックのブラジル市場での存在感を増す新工場建設。松田社長は、「作ったものを売って、できるだけ早く2期工事もやりたいと考えている」と抱負を語った。

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