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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年4月6日付け

 サンパウロ市のカサビ市長が、DEM(民主党)を脱党して新政党PSD(民主社会党)を結成したことで、早くも2014年の統一選挙への動きに拍車がかかっている。しかも飯星ワルテル、安部順二両連邦下議がそれに連動したことで日系社会にも関係が生れた▼サンパウロ市長を輩出したDEMとサンパウロ州知事を抱するPSDBという2大政党は、サンパウロ州内でこそ一大勢力だが、PT(労働者党)中心の連立与党が幅を利かす連邦では8年間も煮え湯を飲まされ続けている▼14年の大統領選挙ではジウマ現大統領かルーラ元大統領などの重量級候補を相手に、最大野党のPSDBからはアウキミンサンパウロ州知事の再出馬、アエシオ・ネーベス上議(タンクレード・ネーベス大統領の孫)の初出馬、はたまたセーラ氏再挑戦まで色々な憶測が流れている▼サンパウロ州知事を狙うカサビ市長が新党結成したのは、現在のPSDB・DEMの筋からは立候補できないと判断したからだ。これは、ネーベス氏が大統領選に出てアウキミン知事が居残る、もしくはアウキミン知事が大統領選に出てカサビ氏以外の後釜を立てる可能性が高いことを意味している▼安部下議は連立野党にいる限りは地盤のモジ市民や日系社会に連邦レベルの恩恵をもたらすことが難しいことを漏らしていた。より中立的な新党に移ることで、それを可能にする選択肢かもしれない。まだ飯星下議はカサビ市長と縁が深く、今回はその人脈によって動いたようだ▼今回の新党が「反アウキミン」なのか「親ジウマ」なのか判断は難しいが、複雑な政治力学が交錯して第3の政党ゆえに漁夫の利を得る可能性もあり、目が離せない。(深)

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