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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年4月13日付け

 中学生無差別虐殺の惨劇がリオで起きてしまった。「ついにブラジルでも」と思った読者は多いはずだ。欧米や日本で起きていた先進国型の犯罪であり、いずれブラジルでもと言われていた▼この手の事件の主因は、学校内や社会のブーリング(いじめ)だ。これは自分の強さを誇示して生存を確保しようとする動物的本能が基底にあり、これ自体をなくすことは難しい。だから昔から人間はイジメをしてきた。上手に共存する術を考えるしかない▼なにが現代のイジメを悲惨な事件に結び付けているかといえば、文明の進展がもたらした社会の繊細化ではないか。デリケートといえば良い表現だが、神経症化でもある▼より細かいことに気を配るようになる反面、科学技術の発展によって遠くの人との交信は盛んになっているが、目の前の人との距離は遠ざかってくる▼かつてはちょっとしたことでも隣人の助けを得たが、社会が豊かになるとそんな関係をおっくうだと思い、距離を置くのが当然になる。テクノロジーが進み社会が高度化するほど、皮肉なことに目の前の人との心理的な距離は遠ざかる▼文明によって社会の神経症化が進むと、そのひずみは内向的な青年に現れる。虐げられていると感じる若者は、一般人からは理解不能な夢想的世界に逃避し、自らの〃本当の力〃を誇示しようと最も簡単な方法、暴力を行使する。これは文明がもたらした病理的現象だ▼犠牲者には深い哀悼の意を表すが、ごくたまにしか起きないこの種の精神病的な突発犯罪より、本当の意味で社会が問題にすべきなのは、ファベーラで〃正常〃な青年らが日常的に起こしている組織的な大量殺人事件ではないか。(深)

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