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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年4月15日付け

 日本文化をいかに当地に広めるかに関して参考になるものを常々探している。その観点から、コラム子は信徒ではないが、ブラジル最大の日系宗教、生長の家の宝蔵大祭を取材して感慨深かった。鳥居から境内、拝殿と本殿、大樹で囲まれた雰囲気など、宝蔵神社は日本の神社仏閣と比べても遜色がない▼大祭の中でみなが焼香する姿は実に興味深かった。戦後の日本では焼香は仏教的供養であり、神道は玉串を奉奠する方が普通だろう。戦前の神仏混交時代の名残を思わせる儀式であり、日本では無くなったそれが当地には残っていることが伺われた▼さらに聖経「甘露の法雨」のポ語版の読誦を聞いていて、「Filho de Deus」という言葉が方々に聞かれ、朗唱の抑揚がキリスト教のお祈りに似ていることに気付いた。つまりポ語でお祈りを聞く分にはキリスト教徒にとって違和感が少ない▼キリスト教では「神の子」とはキリスト自身を指すが、生長の家では人類みなが神の子であるとしている点が異なる。原罪意識から救済を説くキリスト教に対し、生長の家は「人類無罪宣言」をする立場だ。そこからブラジルこそ「大乗カトリック教相応の地である」と考え、ここから欧州、アフリカにまで教えを広めるとの方針を60年代半ばから持っていた▼伯国がカトリック大国であるがゆえに日本的な「神の道」を広める可能性を見出した。日本国内の信者は200万人というので、当地では非日系中心に250万人の信者・縁者を育てたことで数的には逆転しつつある。新興ゆえの順応性の高さがこの状況を生んだ。当地には日本文化を世界に普及させる一つの適応モデルがある。(深)

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