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京都府警の丸山警部来伯=サンパウロ市のモデル交番で指導=南大河州で視察、講演も

ニッケイ新聞 2011年9月1日付け

 JICA(国際協力機構)、サンパウロ州軍警、国家保安局などが連携して行っている「交通システムに基づく地域警察活動普及プロジェクト」の短期専門家として、京都府西京警察署生活安全課長の丸山公一警部(滋賀、58)が来伯した。
 丸山警部は8月8日にブラジル入りし、29日までサンパウロ市滞在。サンパウロ市内の18カ所のモデル交番、駐在所の指導や助言、国際地域警察普及員研修で講演するほか、資料整理などを行った。
 交番普及プロジェクトの第一弾は、JICAとサンパウロ州軍警が連携し05〜08年に実施された。日本から長期専門家が2人派遣され、大サンパウロ市圏を中心に普及、08年時点で54カ所のモデル交番が設置され、現在までにサンパウロ州で268カ所に上る。
 08年に始まり、今年11月に終了予定の第二弾にはサンパウロ州のほか全伯12州が参加、ニカラグア、コスタリカなど中南米5カ国も研修を受けているという。JICAからは年に2人、短期専門家を派遣しており、丸山警部は6人目となる。
 24日の午後2時から、17人の警察官が駐在するパリー地区の交番を視察した丸山警部。JICA聖支所の川野カルメン職員、大隊長、中隊長、プロジェクト参加を検討しているアマパ州の地域警察コーディネーターも交番を訪れた。
 パリー交番の取り組みの状況を聞いた後、丸山警部は自ら作成したスライドを見せながら、西京警察署で実施している防犯対策などを説明。
 「こども110番の家」制度、万引き防止を呼びかけるファイルやティッシュの配布、盗難防止のため、放置されているバイクや自転車に注意を喚起する札を、住民の協力で掛けるなどの取り組みを紹介した。
 「警察官の数は限られている。住民が安全に暮らせるように、住民の協力を得て地域一体となって防犯を行うことが大切」と話していた。
 また「いざというときに地域住民と連携を取れるよう、普段から良好な関係を築いておくことが重要」とのべ、道案内時に使用できるような大きな地図を設置することを推奨、月に一度、犯罪発生率や指名手配犯などの情報を記載した通信を発行し、住民に何が起こっているかを知らせる取り組みも紹介していた。
 説明を聞いた関係者は頷きながら、「素晴らしいアイデアだ」と感心していた。
 オズヴァルド・メンデス・ドス・サントス交番長(44)は丸山警部に謝辞を述べながら「できることから始めたい。防犯対策の札などはすぐにできると思う」などと話し、道案内用の大きな地図が早速貼られていた。
 初来伯の丸山警部は、それまでの交番指導を振り返り、「指導に来て良かった。地域警察の基本である、地域への溶け込みが実践されている」と感心した様子で、「パリー交番でも良くやっている。特に巡回連絡などが浸透しているようです」と喜びを見せた。
 他の複数の交番同様、パリー交番では社会奉仕活動に力を入れ、交番内に図書館を設けて貸し出しを行う、自転車置き場を提供する、健康診断を行うなどの活動を実施している。
 地域警察活動に共感し、管理者研修を受けたというオズヴァルド交番長は、「住民のためになる警察官になりたかった」と笑顔を見せる。
 交番長によると、パリー区は最近さほど危険ではないといい、住民も警察官に挨拶するなど良好な関係を築いているようだ。
 丸山警部は30日に南大河州ポルトアレグレ市へ移動し、軍警訪問、現地視察やセミナーでの講演を行った後、9月3日に帰国の途につく。

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