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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年9月28日付け

 先週レストラン『伴』が開店し、〃味の名店街〃でならしたトマス・ゴンザガ街が再び賑やかになってきた。日本食品の輸入が正常化してラーメン『和』の麺も23日から正常化し、10月15日には『エスパッソ・カズ』開店が迫っている。両『カズ』店を経営するヤマトグループの高木和博社長も、「ラーメン屋がラーメンを提供できなくなって、うどんをだすという前代未聞の事態となり、お客様にご迷惑をおかけしました。遠くから食べに来ていただいたお客様が、ラーメンがないことを知らされ、がっかりする姿を見て悲しい思いをしました」と東日本大震災という逆風を跳ね返す勢いを見せる▼長いこと「寿司、刺身、テンプラ」だけだった当地の日本食に本来の多様性が最近でてきた。10年3月から出店を始めた進出企業、牛丼の『すき家』は東洋街の1号店を皮切りに、パウリスタ大通り周辺に狙いを定め、すでに4店目と怒涛の勢いだ。味に保守的なブラジル人に「甘い牛肉」が受けるのかと心配したが、今の所好調のようだ▼先日、サンパウロ市西部の南米最大級のパダリア(パン屋)の一番人気は手巻き寿司だとの記事もあったが、これはブラジル人側からの日本食への急接近といえる。両側から日本食の普及が進んでいる▼以前から不満だったのは和風ハンバーグのような肉料理、シチュー、明太子などの和風スパゲティ、100円シュークリームのような手軽な洋風和食がないことだった。日本食=高級という発想も変えたほうがいい。特にお薦めはイタリア系子孫と真っ向から勝負する和風パスタ店、和風ピザ店、それに安い和風洋菓子店だ。ぜひ東洋街に店を集積させて欲しい。(深)

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