ニッケイ新聞 2011年10月11日付け
来年、創立50周年を迎える本門仏立宗中央寺院日教寺(コレイア教伯教区長)は、記念事業の一環として、来年6月までに中央寺院の大屋根の建築完成に加え、笠戸丸移民だった茨木日水上人が提唱した〃佛立植民地〃の建設を実現すべく、今年7月、サンパウロ州タピライ市に土地を購入した。コレイア教区長は、「日水上人の夢を今こそ叶えたい」と意気込んでいる。
中央寺院の大屋根建設は「入り口の外観をもっと寺院らしく」という信者の声に応える形で記念事業に盛り込んだ。門から本堂に通じる通路の改築も予定している。
建設に携わるのは西河工務店、コトブキ・コーポレーション、関本工務店の関西3社。
各社から西河修一代表(61、兵庫)、澁谷知秀代表取締役(53、兵庫)、関本宏士代表(46、大阪)が先月来伯し、建設に適した木材の選定や具体的な設計を行なった。
澁谷さんは、「日本と同じ工法では難しい。ブラジル用に新しい方法を考えたい」と話す。
コレイア教区長は、「大屋根建設は多くの信者の夢。先没者、子孫のため、50年前に寺を創立した人への恩返し。ブラジル一の屋根を作ってほしい」と期待する。
モデルとなるのは、大阪府守口市にある同宗4大寺院の一つ義天寺。コレイア教区長が5年前の訪日時、その大屋根の美しさに惹かれた。建設に携わった3社と昨年8月から調整を開始、来年6月の完成を目指す。
08年の笠戸丸で渡伯した茨木日水上人の念願だった「ブラジル佛立聖地」の建設計画も進む。
サンパウロ市の南西100キロにあるタピライ市(人口8千人)で信者が所有していた土地84アルケールを今年7月に購入している。
保護区に指定される大西洋岸森林の一部で、水源3カ所、ユーカリ林や池など豊かな自然や資源に恵まれた場所で、寺院、麻薬中毒患者厚生施設や養老院などを建設する5カ年事業。市の協力も得た一大プロジェクトとなるようだ。