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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年11月17日付け

 1年を振り返ろうと慌てるのは年末。ときおり振り返ればいいのだが—毎年の師走に恥じるそんなことをふと思い出した。月半ばに心に残った11月の言葉から▼「神様がマンダせんからまだ生きてます」。総領事館公邸であった『百歳表彰伝達式』で久山吉明さん(岡山)。子や孫に囲まれる日々のなかの楽しみは「邦字紙を読むこと」。思わず身が引き締まる思い▼「最高の人生だった」。県連ふるさと巡りで51年ぶりの再会を果たした小学校の同級生、田中義文さん(71、島根)と平田臣吉さん(同)=ウルグアイ在住=。平田さんの移住を聞き、田中さんはコチア青年として来伯。花作りとセラード開発に賭けた互いの半世紀を語るうち同じ思いに行き当たった▼「高拓生3人が生きているうちに実現できて良かった」。高拓生80周年。笠戸丸移民同様、二世らは日本語を話せない。教育を疎かにしたわけではなく、日本語まで手が回らなかった。その二世らが州政府から謝罪の言葉を勝ち取ることで父らの汚名をそそいだ。井原テイさん(67)も「家族で過ごした思い出はないけど、おかげでブラジル社会に溶け込めた」▼「うちなー文化を守っていきたい」。沖縄出身の人気バンドBEGINのコンサート終了後、「琉球国祭り太鼓」の仲間と抱き合い泣きじゃくった照屋すえこさん(22、三世)。憧れの歌手との共演を果たした。「家でも沖縄の話を祖父母からずっと聞いてきた」。音楽を通したルーツの確認と文化継承への決意を、流した涙が物語る。わずか半月、コロニアにドラマあり、いわんや1年をや。(剛)

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