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青空学級発表会=劇や和太鼓を立派に披露=褒めることで自信持たせ=生徒の成長を喜び合う

ニッケイ新聞 2011年12月10日付け

 サンパウロ自閉症療育学級「青空学級」(PIPA、佐々木憲輔代表)は3日、「第7回青空学級発表会」を援協社会福祉センターの5階サロンで開催した。生徒の保護者や協力団体の代表者ら108人が訪れ、子供たちの1年間の成長を確かめ合った。

 06年に発足し援協の傘下団体として活動する同学級は、当地で始めて精神安定剤を使わない生活療法を導入した自閉症児療育学級。
 「体力づくり・心づくり・知的開発」を三大柱に、子どもの身辺自立や社会自立を目指す。
 同学級の設立に尽力した菊地義治援協会長は「ブラジルではまだ新しい活動だが、様々な団体が協力し合い常に前進している。生徒がいつか国を支えられるような人材に育っていくことを願う」と挨拶した。
 発表会は生徒らによるキーボード演奏でスタート。半円のバランスボール上で釣り合いを取ったり、ローラースケートや一輪車を巧みに操って障害物をクリアし、手を繋いで回ったりと堂々たる演技を見せ、贈られた観客の拍手に誇らしげな表情を見せていた。
 佐伯エウザさんによる入学以来の息子ヒロシ君の成長を紹介するプレゼンテーションが行なわれた。
 生まれて約1年後、「目線が合わない」「一人遊びが多い」など行動の異変に気づき、専門家に相談した末、自閉症と診断された。「何もないのに泣いたり叫んだり、医師は副作用のひどい薬を処方するだけだった」と涙ぐみながら語った。
 同学級に入学し、運動や皿洗い、アイロンがけ、料理など徹底した生活指導に「将来生きていけるような形に人生が変わっていった」と感謝を表し、参加者から温かい拍手が贈られた。
 続いて、子どもたちが「白雪姫」の劇や和太鼓を披露し、可愛らしい小人の行進や一生懸命な演奏の様子に会場は更に盛り上がった。
 最後に佐々木代表は「子ども、父兄、教師や協力者のおかげで発表会が実現できた。これからもっと多くの自閉症児が学級に参加できるようにしていきたい」と挨拶をし、子どもたちから各参加者にプレゼントが贈られた。
 加納扇さん(62、二世)=サンパウロ市=は、「子供が自分の力で色々なことが出来るように、皆が努力していてとてもすばらしい」と活動を称えた。
 生徒の母、矢野和美さん(37、石川)=サンパウロ市=は「一年頑張って練習した成果を見て褒めてもらうことで自信が付く。菊地さんと佐々木さんによく助けて頂いて、恩が忘れられない」と話した。

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