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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年12月21日付け

 クラブ世界一を決める大会で、サントスがバルセロナ(スペイン)に惨敗したことで、ブラジルはいい教訓を得たと内心感謝した。ほかの競技で負けるより、サッカーで負けた方が国民全体の心に響く気がする▼特に相手チームの監督の一言がグサッとブラジル人の心に刺さったに違いない。「祖父や父からブラジルのサッカーは素早いタッチでより長くボールを支配し、わずかなスキを見つけては一瞬にして勝負を決める。我々はそれを目指して練習してきた」。穴があったら入りたいと思ったブラジル人サッカー狂は多かった▼バルセロナは自分の学校に世界から神童を集めて英才教育を施す。天才の名をほしいままにするメッシはもちろん、一軍選手の大半はそこ育ちだ。才能ある若者が幾らいても、開花させられるかどうかは教育にかかっている▼メッシへの決定的なパスを何本も出して大活躍した相手チームのブラジル人選手ダニエル・アウヴェスだが、ブラジル代表としては正選手の座を争ってベンチを温めていた時代もあった。ブラジルは才能の宝庫だが組織、教育、戦略が足りない▼現在の経済も同じだ。しっかりした土台の上にしか高い建物は立たない。インフラが脆弱なままで高度経済成長ができる訳がない。まずは教育などのインフラに徹底投資し、土台固めに注力すべきだ。バルセロナの学校のように▼スペイン系のサンタンデール銀行グループは世界利益の25%をブラジルでたたき出しているが、2年以内に30%になる見通しとの報道があった。スペイン人はサッカー同様、ブラジル人の才能とお金の引き出し方をよく知っている。さて日本企業はどうか?(深)

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