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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年3月9日付け

 PMDBのことを「良くも悪くもブラジル国の体質を具現した伝統政党」とする識者が多い。地方に基盤を持つ大政党で、最多の市議・市長を抱える。全伯に約5500人いる市長のうち実に1177人を占める▼直接選挙では大統領こそ出していないが、思想の左右関係なく与党に与して党派政治の中核をなすといわれる。今も与党のはずなのに〃内乱〃を続け、ジウマ大統領を苦しめている▼その最たるものは大統領の右腕ともいわれ、高速鉄道構想を仕切ってきた陸路輸送庁(ANTT)のベルナルド・フィゲイレード長官の再任を上院の評決で阻んだことだ。せっかく仕切り直そうとしていたジウマ政権の目玉構想・高速鉄道の入札の出鼻を挫くには十分な仕打ちだ▼他にも、森林保護法の可決も先送りされ、6月の国際環境会議「リオ+20」の主催国の目玉法案が宙に浮いてしまう可能性が出てきた▼数年来PTに頭を抑えられ、ジウマ人気に乗じたPT勢が選挙で一気に大躍進することを恐れて焦っているとも言われる。同時に選挙年ゆえに資金が必要な時でもあり、議員割当て金の増額やその給付を早める交渉をしているとの報道もある▼サンパウロ市長選を見れば分かるとおり、PTは連邦政府の機構全体を使って選挙態勢を整えている。当地の選挙は一般的に、より多くの市長や市議を抱えた政党が2年後の連邦選挙で有利になる。ここで勝つことは2年後に大統領を出すための必須条件だ▼与党や国としての体面をかなぐり捨てて、なりふりかまわず国内選挙を優先させているようだ。選挙の年の首都には無数の〃コブラ〃がトグロを巻いて鎌首をもたげている?(深)