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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年9月7日付け

 県連日本祭りの来年開催が危機的状況にあるとの報道に接し、驚いた。来年の賃料高騰を危惧してであれば、イミングランテ会場を来年使用するすべての団体に共通した問題だろう。「日本祭りほどあの巨大な会場の隅々まで使うイベントは他にない」という話を以前聞いた。運営会社にとっても県連は〃お得意さま〃のはず▼もし、同会場を利用する他団体も県連同様に考えて中止するなら、来年から運営を受託する会社は潰れる。それでは会場の所有者たる州政府も困るだろう。日系州議に談判し、来年の賃料上限をあらかじめ設定して書面で取り決めできないのか▼日本祭りは充分に大きくなった。規模的にこれ以上拡大する必要はない。あとは内容を充実させ、二、三世中心の体制に持っていくという質的変化に力を注ぐことが重要だ。まだ一世中心の県人会が多いだろう。日本祭りが青年の誇りとなり、各県人会に若者の参加者が年々増えていくことが理想だ。県人会に限らす、将来が期待される日系団体には共通して言えることだが、青年役員に入れ替える時期にある▼すでに一般市民に日本文化を紹介するイベントとして定着し、日系社会全体が誇れる行事となった。時には金銭的な利益を生まない年もあるだろう。思えば、日本祭りが始まった頃の数年間は、ずっと赤字やトントンの状態だった▼運営がこなれ、今の会場に定着するまでのその頃を思えば、来年予想される事態はけっして〃冒険〃的なものではない。今までの方がはるかに危ない橋を渡ってきている▼慎重論は当然出るべきだし、議論は尽されるべきだ。その上で開催が決断されることを心から期待する。(深)

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