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文協=短編コンクール授賞式=「応募者8割が非日系」=受賞者4人が喜びあらわ

ニッケイ新聞 2013年3月2日

 文協(ブラジル日本文化福祉協会)文芸委員会ポルトガル語部門(半田フランシスコ委員長)主催の「第1回短編(コント)コンクール」の授賞式が26日夜、文協貴賓室で開催され、約80人が出席した。「ブラジル文化と日本文化の出会い」をテーマに募集し、聖州など国内各地、ポルトガル、埼玉県から計184点もの作品が集まった。

 半田さんが審査委員長を務め、研究者やジャーナリストなど4人が厳正な審査を行った結果、1位〜3位(3位は2人)の4人を決定。受賞者は壇上で表彰状を受け取り、それぞれ喜びの声を寄せた。
 隣人同士の日系人、非日系人女性の交流を描いた桜井セリアさん(59、三世)は、木多喜八郎会長からの表彰状を手に「文学作品を書くのは、子供のころの夢だった」とあいさつし、頬を紅潮させ満面の笑顔で喜びをあらわにした。
 日本移民に関する研究者で元大学教員。本紙の取材に対し、「ポ語がわからなくて苦労した父が、いつも私たちにポ語で本を読むように言っていた。論文は規則が多いけど、物語は自由。これからも書き続けていきたい」と目を輝かせた。
 2位のカミラ・フェレイラさん(19)は、ブラジリア連邦大学で文学を専攻する。この授賞式のためわざわざブラジリアからバスに乗ってサンパウロまで足を運んだ。
 受賞作は、日本からブラジルに移住し、当地で生きる男性とその家族の物語だ。タイトルは「遠くから見ると、桜の木と白いイペの木は似ている」ことから名づけた。
 日系人の友人はおらず両親も移民ではない。コロニアとは全く接点がなく、「お寺のイベントに行ったり本を読んだりする程度」と淡々とした口調で語る。「移民がどんな気持ちで祖国を離れるのか、行った後はどう生きていくのか、想像しながら書いた」と完全な創作であることを明かした。「夢は作家になること」と控えめに語った。
 審査委員長を務めた半田さん(57、三世)は佛心寺の僧侶で自身もハイカイをたしなむ文学者。「ブラジル中から作品が集まったことが興味深く、驚きでもあった。約200作品の中で、50作品が特によく甲乙つけがたかった」と評価する。
 「応募者の約8割は非日系だったという印象。自分の経験を反映させていない、自由な発想で書いた完全な創作の方が、かえって質が高かったように思う」と講評、「これから日本移民の歴史は文学の力で浸透していくはず」と話し、来年の開催に意欲を見せた。
 受賞者と作品は次の通り(敬称略)。1位「Duas Cenas, um muro?」(桜井セリア)、2位「Ipes Brancos」(カミラ・フェレイラ)、3位「Corrente fria, corrente quente」、(フェルナンダ・カウダス)、同「Um noivo para a filha do senhor Murakoshi」(フランシスコ・パスコアル・ピント)。
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 なお半田さんによれば、時期は未定だが、優秀作品を集めて発刊したい意向だという。

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