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移民の日に思うこと=ブラジル日本都道府県人会連合会 会長 園田 昭憲

ブラジル日本移民105周年

ニッケイ新聞 2013年6月15日

 ブラジルの日本移民は今年105年、そして1942年から約10年間の移民空白の時代を経て、戦後の移住が再開されて60年になり、7月のフェスティバル・ド・ジャポンの会場で式典を行います。戦前、戦後を通じてブラジルに移住した日本人の数は25万人余、そして現在では150万人余といわれる日系人の中に占める日本人の数は4%を下回るといわれています。
 しかしながら105年前に、コーヒー園でのコロノ生活に始まり、幾多の年月の中には志を果たせず、また過酷な労働の中で生を受けた子供が早世するなど、一言でブラジルの日本人移民を語ることはできませんが、その人たちの労苦があったから現在があるということも忘れてはなりません。
 6月18日の移民の日は、志を果せず亡くなられた人の慰霊をする日でありますが、自分の意思とは関係なく両親につれられて、ブラジルに来て成長し、そして亡くなった人たちもいます。
 今では日系社会も移り変わって、ブラジル生まれの人たちが多くなり、一世の大半は高齢化し、二世、三世そして四世という時代が来ており、世代別の混血状況は四世においては60%を超えるとみられています。
 そこでこれからの日系社会のあり方を考えなければなりません。このような中で、日本に対する認識、理解は希薄になっておりますが、相互の交流を今まで以上に密にして行くことが大切です。
 それには、私どもの行く基礎を作っていただいた、先人の足跡を忘れてはなりません。毎年6月18日に行われる慰霊祭は、これからの日系人の生き方を考えると共に先人の方々への鎮魂の儀式です。これを次代に受け継いでもらうとともに、新しい日系の歴史への第一歩を踏み出したいと思います。

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