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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年6月25日

 20日夜、1992年のコーロル大統領弾劾請求に加わった学生運動〃カーラス・ピンターダス〃参加者が、今回の抗議行動にも賛同・参加とのニュースを見た。20日の抗議行動には全国100近い市で125万人が参加しており、21日には6〜70代の男性達が「(軍政反対の)1968年の青年達が2013年の青年達を応援」と書いた横断幕を手に行進する光景がフェイスブックに▼バスなどの料金値上げ反対を発端とする抗議行動は「20センターボだけの事ではない」との言葉通り、値下げ宣言後も、軍警装甲車に椅子を投げつけ抵抗するなど、市民戦争そのものの光景が新聞などに出ている▼この様子を、やはりフェイスブックなどの影響で抗議行動が拡大した「プリマヴェラ・アラビ(アラブの春)」を模して、「プリマヴェラ・トロピカル(熱帯の春)」と呼ぶ国外メディアや「プリマヴェラ・ブラジレイラ」と称する国内メディアもある。軍政下では反体制派だったジウマ大統領や労働者の代表のはずのPTが、今回は槍玉に上がりかねない状況だ▼ルーラ前大統領やPT幹部には予期せぬ展開かも知れぬが、抗議行動拡大の背後には、ジウマ大統領が労組や先住民、土地無し農民等の少数派との対話を怠った事や政局運営の拙さなどの要因もあるようだ▼料金値下げ宣言後は平和的な抗議行動が増えたが、家族ぐるみで参加する人もいるサンパウロ市などと、警察との抗争が続くベロ・オリゾンテなどの温度差や68年や92年の〃抗議の波〃のような明確な目標やリーダー不在は気がかりだ。時代を読むのは難しいが〃抗議の波〃沈静化の時期と到達点は?(み)

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