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柔道 上野順恵さんが帰国=「いつか必ず戻ってきたい」

 日本の柔道選手で、昨年開催されたロンドン五輪銅メダリストの上野順恵さん(30、北海道)が今月30日、勤務する三井住友海上保険のサンパウロ市拠点「ミツイ・スミトモ・セグーロス」での業務研修を終え帰国する。
 毎日のポ語の勉強に加え、ミュンヘン五輪銅メダリストの石井千秋さんが経営する道場を中心に稽古にも参加。ブラジル人柔道愛好者らとも交流を深めた。
 約半年間の研修を振り返り、「先輩後輩関係なく仲が良く開けた雰囲気など、本当にブラジルが好きになった。この国の良さや学んだことを日本に持ち帰り、多くの人に伝えたい。そしていつか必ずこの地に戻ってきたい」と感激の面持ちで語った。
 ロンドン五輪以降休止している競技者としての活動については「この半年間で決めるつもりだったが、未だはっきりさせられずにいる」と話し、複雑な心境を覗かせた。
 帰国まで2週間をきった19日には、サンパウロ市カンポリンポのサンパウロ日本人学校で自身の柔道経験をもとにした講演を行い、全校生徒約230人がメダリストの生の声に耳を傾けた。
 柔道場を経営する父の指導のもと、3歳で柔道を始めた上野さん。「本当に厳しく、楽しかった記憶はない」と「柔道が嫌いだった」という当時を振り返った。
 それでも「辛いことを乗り越えることは、自分に自信を持つことに繋がった。小学校でのいじめを克服出来たのも、柔道を続けていたから」と継続することの重要性を強調し、「柔道をやっていなければ今の自分はない。今では父に感謝」と感慨深げに話した。
 講演後、生徒らとの組み手や腕相撲の時間が取られ、大興奮の子どもたちとの交流を楽しんだ。
 中学3年生の平野大悟さん(15、東京)は「苦労から逃げない勇気を持つことの大切さを学べた」と真剣な表情で話し、組み手を体験した小川大成さん(15、愛知)も「金メダリストに投げられたことは一生の思い出」と笑顔をこぼした。

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