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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年10月17日

 日本は10月だというのに真夏日が続き、台風に見舞われている。サンパウロでは朝晩寒かったが、ようやく暖かくなってきた。イベントも盛んになり、本紙編集部の記者も週末は大忙しだ。各地での取材で拾った印象深い10月の言葉から▼「若者が自分から歌詞の意味を知ろうと勉強会を開いている」。琉球民謡保存会ブラジル支部による『民謡の祭典』で米須正会長があいさつで、うちなー文化の担い手の成長を報告した。舞台では、彼らによる寸劇「毛遊び」も初披露。沖縄文化を知ろうとする若手の意気込みが伝わってくる。来年は支部創立20周年、老若一体となったイベントを期待したい▼「お互いの歩み寄りを」。今年は七夕祭りの参加を中止した宮城県人会の総会での発言。ACALに商標登録された「仙台七夕祭り」の名前の問題や、個人的感情も入り混じるものの、何とか平和的に解決したいのが思いだが、問題はなかなかに複雑だ。リベルダーデを代表するお祭りだけに、来年は手を取り合ってほしいもの▼「食べ放題は繊細な日本食の本質に外れるのでは」。フォーリャ紙が開いた日本食の討論会で、ブラジル人参加者が疑義を呈した。どういう意味合いでなのかは分からないが、一時の日本食ブームは過ぎ、様々な形で奥深く知ろうとする層が出てきていることを感じる。こういう疑問を投げられたらどう答えるだろう▼「西郷隆盛が改革のさい、好んで使った〃敬天愛人〃(天を敬い人を愛す)は移住者にも通じる」。鹿児島県人会100周年で原口泉氏は、そう県人の努力を労った。式典は今月20日、盛大なる祝意を表したい。(剛)

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