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異常気象と人々の冷酷さ

 18日午後、モオッカの病院に入院中の知人を見舞いに行く途中、突然の雹に襲われた。バスの中は屋根を打つ雹の音でラジオも聞けず、窓から覗けば路面は真っ白、扉が開いた時に見えた濁流も氷の粒で覆われて白い川になっていた▼70代の知人とその娘は病院の窓からの光景を写真に撮った。アクリマソンでは地面に残る雹のため、19日朝の気温は氷のない所より3度低いなど、前代未聞の出来事で18日午後のサンパウロ市は動きが止まった。今年のサンパウロ州の干ばつは3378年ぶりと聞いた直後の大降雹だ▼異常気象が増えていると思うと共に、「終末の時はききんや地震といった出来事が増える」という説を思い起こす。終末の前兆には、民族や国家間の戦争や不法がはびこり、多くの人の愛が冷たくなるといった項目も挙げられている▼「人の愛が冷えた」例には、サンパウロ州海岸部のグアルジャで起きたリンチ殺人事件や、南大河州で起きた11歳のベルナルド君殺害事件などが挙げられそうだ。ベルナルド君は薬物注射で殺害された。南大河州検察局は、実父の医師が息子の殺害計画をたてて看護婦の継母が実行、継母の友人と兄弟が用意した穴に遺体を葬ったと考えて4人を起訴、司法当局もその内容を受け入れた▼実父と継母との間に生まれた娘も共に4人揃った光景を見た人はほとんどいない、ベルナルド君を邪魔者扱いしていた、行方不明後の平然とした態度といった状況証拠や電話の記録などが実父起訴の決め手となったようだ。母親が残した遺産故に我が子さえ殺害と考えると背筋が凍る。アラブの春、ベネズエラの混乱、国内の事件や雹と考え出すと終末は近いが、その対策は?(み)

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