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恥じる理由は何もない?

 W杯まで20日だった23日、元代表選手で現地実行委員会(COL)メンバーのロナウドが、官僚主義や多くの混乱を批判し、「W杯準備の遅れを恥ずかしく思う」と発言した▼15日付2面でも触れたが、5月始めのW杯関連工事の完成率は41%。空港からホテルまでの道はぬかるみという例すらある事を知る人なら、国が開催を請け負った時点での約束が果たせない事を恥ずかしく思うのは当然だろう▼だが翌24日、ジウマ大統領やアウド・リベロ・スポーツ相は「恥ずかしく思う理由は何もない」「(COLメンバーでもあるロナウドの発言は)自国に対する自殺点のような行為」と強い口調で言い切った。これらの発言に開いた口が塞がらなかったのはコラム子が日本人故か▼ブラジルはルーラ政権時代、国際サッカー連盟(FIFA)の意向に反して開催都市を増やし、2012年には準備が遅いとしてCOLへの政府介入を決めた。W杯反対デモも続く中、政府側が自国の非を認める発言もせず、ロナウドを批判したのは謝る事を良しとしないブラジル人気質故かも知れない▼だが、ロナウドが4月にアエシオ・ネーヴェス候補と試合を観戦した時の写真をインターネットに掲載し、「親友で未来の大統領」とコメントした事も態度を硬化させたというのは勘ぐり過ぎか▼ジウマ大統領は外からの批判に強い態度で反発する事が多く、FIFA会長とも仲違いしたままだ。コンフェデ杯でブーイングが出た事もあり、今回のW杯は開催国首脳の挨拶すらない開会式で始まる。今回の反論は一国の首脳としては狭量で謙虚さに欠ける性格の表出といったら、更に大きな反発が返ってくる?  (み)

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