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生まれ変わったカザロン・ド・シャ
生まれ変わったカザロン・ド・シャ

モジ=カザロン・ド・シャが文化施設に=修復工事終え、初披露目=保存費捻出が今後の課題

中谷哲昇さん

中谷哲昇さん

 モジ・ダス・クルーゼス市コクエラ地区のお茶屋敷「カザロン・ド・シャ」の長年の修復工事が終わり、1日、お披露目セレモニーが行われた。1942年に茶の生産拡大のため製茶工場として建設されたが、68年以降は農機具庫として利用されていた。同市在住の陶芸家・中谷哲昇さんが中心となって96年に保存協会を設立、復元に尽力してきた。今後はフェイラや展覧会など、文化的催しに利用される。安堵の間もなく「今後の課題はどう保存するか」と中谷さん(71、大阪)は語り、生まれ変わったカザロンを仰いだ。

 日系移民大工・花岡一男の手によって、釘を使わないはめ込み方式で作られた木造建築の元製茶工場。美術・歴史・考古学的価値などが認められ、1982年、86年にそれぞれ州政府、連邦政府により文化財に指定された。
 特殊な技術を要するため、日本から招へいされた専門大工の中尾哲也氏が修復にあたった。材料は中谷氏が自ら調達したという。工事は2005年から三期に分かれて行われ、予定より4年遅れて完成した。
 式典には、当初から修復活動に尽力してきたモジ大学のアナ・マリア・サンジン教授や花岡氏の孫アナちゃんとピエール君、資金調達に協力した安部順二連邦下議、マルコ・アウレリオ・ベルタイオッリ市長らが出席し、中谷さんらの献身をたたえた。
 名誉市民賞を受賞し、拍手を一身に浴びた中谷さんは、「単純に人のやらないことをやってみたかっただけ。皆苦労したって言うけど、半分楽しみながらだった」と気負いがない。「これからはどう保存するかが課題」と先を見据えた。
 娘の美波さん(33、二世)も、「建物は市のものだけど、お金は下りそうにない。カザロンの存在すら知らない人が多いので、まずは宣伝が必要。新たな挑戦です」と表情を引き締めた。

カザロンの2階もすがすがしい空間に

カザロンの2階もすがすがしい空間に

 開館日は毎日曜日の午前9時~午後5時で、カザロン前で民芸品や有機食品などのフェイラが開かれる。同日、建物内でアウト・チエテ写真クラブによる「第1回南アメリカ現代写真展」も始まった(今月末まで、開館日は木~日)。今回は入場無料だが、今後は入場料を徴収し保存経費に充てることも考えているという。
 新たな市の観光スポットとしてモジの観光地図にも組み込まれた。市内の学校の生徒たちの歴史探訪の拠点としても活躍する。
 鹿児島県人会の井料堅治参与は「修復前は哀れなもの。中谷さんはよく頑張った」と感心した様子で話した。

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