ホーム | W杯パッセ | 黄金時代のジュビロ

黄金時代のジュビロ

 ホテルの部屋で原稿を執筆中、突然、入り口のドアが開いた。振り返ると「ゴン」こと中山雅史さんが驚いた表情で立っていた。「あれ?」「あれ?」。ゴンさんが部屋番号を間違えたのだ。「駄目だよ、ちゃんと鍵締めなきゃ」。捨て台詞に笑った。イトゥを拠点に取材したW杯前半の良い思い出だ。
 大会は6月28日(日本時間29日)、決勝トーナメントに突入した。前回覇者スペインはまさかの敗退を喫したが、筆者が注目するドイツは順当に予選を首位通過した。
 両チームの共通点は主力を一つのクラブチームの選手たちで固めたこと。スペインはバルセロナ、ドイツはバイエルン・ミュンヘン。短期間集まってすぐ解散する寄せ集めの代表は連係を深めるのに限度があるが、その心配が解消される。 そこで思い出すのは「日本代表より強い」と言われた黄金時代のジュビロ磐田。あうんの呼吸が生むパスワークは日本代表にもまねできない芸当だった。
 もし2002年日韓W杯の日本代表をジュビロ磐田勢中心に構成していたら…。ゴンさんに聞いた。「やってみなければ分からないけど、やってみたかったよね」。かなわぬ夢の話に付き合っていただき感謝。前だけをみるゴンさんはブラジルでも体を鍛えていた。(イトゥ=静岡新聞特派員・南部明宏)

image_print