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【安倍首相来伯特集】あいさつ

経済交流深化の気運を期待=ブラジル日本商工会議所 会頭 藤井 晋介

 安倍首相来伯記念特別号の発行にあたり、ご挨拶申し上げます。
 この度、10年ぶりに実現した首相来伯は、短いながらも内容は大変充実したものでした。首相は、8月1日に行われたブラジル経済界との意見交換会において、インフラやエネルギー分野への日本の投資拡大、日本企業のブラジル市場への更なる進出について期待を表明すると共に、ブラジルから日本への輸出拡大についても歓迎する意向を示し、ウィン・ウィンの経済関係構築を呼び掛けました。
 また、8月2日に行われたビジネス・セミナーでは、progredir juntos、liderar juntos、inspirar juntosという三つの理念について力強く語り、アイルトン・セナと本田宗一郎の関係を例にとって、共に心を通わせた対等なパートナーシップを提唱していました。
 戦略的パートナーとして一緒に発展していこう、というメッセージは今回の首相来伯において一貫しており、我々だけでなく、ブラジル側関係者の心にも強く響いたのではないかと考えます。
 首相来伯には、経団連による約15年ぶりのラ米ミッションとして50名近い財界トップが同行し、ブラジル経済界との意見交換を行ないました。また、日伯賢人会議メンバーが両首脳と面談し、日伯経済交流の優先分野における進捗状況を説明しました。
 こうした場において、両国関係者がお互いにエール交換だけでなく、投資や貿易の拡大、ブラジル製造業の更なる発展に向けた課題についても言及し、率直・真摯な議論を行ったことは大変有意義であったと感じています。
 首相は今後の両国間の閣僚レベル交流をより活発化することを約束されましたが、商工会議所としてもこの機運を逃さず、日本企業にとってのブラジル・ビジネス環境をより良いものとすべく積極的に活動していく所存です。官民双方の努力によって、更に多くの日本企業がブラジルに進出し、両国の経済交流がより深化することを期待しています。
 政治・経済面だけでなく、首相は日系社会との交流や日本文化の紹介イベントにも精力的に参加されました。また、首相夫人はサンタクルス病院を視察されたと聞いています。こうした交流により日系社会との絆が一層深まり、来年の日伯外交関係樹立120周年を共に祝う地合が醸成されたのではないかと考えます。商工会議所としても今後の日伯関係の益々の強化に貢献していきたいと考えておりますので、日系社会の皆様のご支援をお願い申上げます。


安倍昭恵首相夫人への感謝=ブラジル日本語センター 理事長 板垣 勝秀

 今月2日(土)18時15分から30分、懇談の機会を賜りました、ブラジル日本語センターの板垣でございます。
 この度は、中南米5カ国歴訪の長旅、誠にご苦労様でした。又、思いもよらない書籍の数々、有難く頂戴致しました。
 インターネットが全盛の今日、このように厳選された新書の一冊一冊の美しい表紙から、何か限りなく懐かしい祖国日本の重厚な文化の香りが漂って来るようです。
 本当にありがとうございました。
 計画中の図書室のリフォームに合わせ、特別コーナー「昭恵文庫」を設立すべく、早速、事務所内の打合せを実施したところです。
 さて私達は、今回の安倍総理のご来伯で、特別な感慨を抱かされました。
 それは「昭恵文庫」寄贈の件で、ホテルで待機していた私は、安倍総理が、歓迎会の会場で日本語教育の強化のため、いろいろな施策を披露下さったとの報道を耳にしたからです。
 私は、大変な感動と共に、日系社会に対するいろいろな選択肢の中で、総理の的確な判断と日本文化をこよなく愛する昭恵夫人の思いに心からの敬意を表するものです。 33年前、ブラジルとの縁を頂き、医療機器事業の傍ら、JICA、国際交流基金の皆様の支援を受けつつ日本語教育を推進するお手伝いをさせて頂いております。
 これまで、事業を通して、ブラジル社会とブラジル人のものの考え方、その生き方、社会の仕組み、制度、法律、などなど、実に様々な異文化体験の中、一人の人間として、どうしても納得出来ない多くの事象がありました。
 日本人は、誰もがブラジル人が大好きです。簡単に友達付き合いが可能です。実にフランクです。相性が良いのです。
 しかし、ブラジルでは、小さい頃に、社会人となる為の訓練がなされていません。それは、学校教育の欠陥です。人間として心豊かな生活のための情操教育、課外活動や躾の訓練が皆無だからです。大人自身にもその気付きがありません。
 一方、私達の日本語は、非常に濃厚な歴史ある文化と切り離して教える事は、不可能です。
 つまり、日本語の学習は、単なる語学に留まらず、日本人のものの考え方、生き方、規律、習慣、四季折々の自然を愛でる心などと、表裏一体になったものを学習することになります。
 私達の願いは、このブラジルで日本語とその文化の奥深さを知って貰い、周りの社会をも良い方向に巻き込みながら、少しでも住み易い、尊敬される国になって欲しい事です。
 最後になりましたが、歴史上の偉大なリーダーの許には、優れた内助の功の存在がありました。一国の舵取りを任せられたリーダーの激務や超人的ストレスなど、一体どのようにご夫婦で日々超えられているのか、想像もつきません。
 しかし、どのような舵であっても、私心なく、世の為、人の為になることであるなら、社会の絶大な支持を得られる事は、間違いありません。どうか、如何なる状況下にあられても、日本の未来のため、サムライ安倍総理にしっかりと寄り添われ、100%の賛同と激励のお声がけをお願い申し上げます。
 猛暑のおり、お体には、充分ご自愛のほど、いつか、また、この地でお会い出来ますよう心からお待ち申し上げております。 


首相ご来伯を心から歓迎=サンパウロ日伯援護協会 会長 菊地 義治

 この度の日本国内閣総理大臣、安倍晋三殿のご来伯をサンパウロ日伯援護協会の会員、評議員、理事、及び職員一同、心より歓迎申し上げます。
 サンパウロ日伯援護協会(援協)は移民船の長い船旅に疲れた日本ブラジル移民に休息の場を与える目的で1959年、サントス港の近くに「サントス移民の家」が設立されたことに端を発し、爾来、ブラジル政府公認の公益福祉団体として55年間、福祉介護と医療の両面で高齢者や社会的弱者の支援を続けてまいりました。
 福祉介護事業面では4つの高齢者介護施設、そして精神障害者収容施設、自閉症児療育施設、貧しい家庭の子供たちを預かる施設をそれぞれ1つずつ、合計7施設を運営し、さらに本部福祉部に於いて高齢者向けの無料デイサービス、無料法律相談等々を行なっています。医療事業面では2つの総合病院と4つの診療所を運営し、奥地の日系移住地への巡回診療、一部、貧しい人々のための無料歯科診療と無料小児科診療を行なっております。
 現在、援協の事業全般を資金面で支える中核事業体である日伯友好病院の設立(1988年)に際しては日本政府からの格別のご配慮とご支援を賜り、病院建設用地用に旧工業移住センターの跡地の払い下げ、MRI(磁気共鳴医療診断装置)をはじめとする医療機器の無償供与、日系医師の研修・育成等々、病院経営が軌道に乗るまでの間、絶大なるご支援をいただきました。その結果、日伯友好病院の医療水準は大幅に向上し、その後の病院関係者の献身的な努力もあって2013年8月にはサンパウロ市に於ける優良病院の一つに認定されるまでになりました。日本政府に対し、ここにあらためて厚く御礼申し上げます。
 一方、ここブラジル国の法制面の規制強化により、日系公益福祉団体の運営は年々、厳しくなってきており、もはや、日系社会だけのための公益福祉団体ではその維持・存続が危うくなってきております。援協としては今後は関係各位のご指導とご鞭撻を賜りながら、日系社会のみならず、ブラジル社会にも貢献し得る公益福祉団体として成長・発展していく所存であります。
 この度のご来伯中、安倍晋三首相殿から、JICAボランティア派遣枠の大幅な増枠(100名)が表明され、さらには日伯双方の当事者間で日本の医療機器及び医薬品に対する輸入規制緩和問題が真摯に話し合われたことは、医療レベル及び福祉介護レベルの更なる向上を希求する援協にとって朗報であると理解しております。
 末筆ながら、この度の安倍晋三首相殿のご来伯が今後の日伯相互の友好関係並びに経済協力関係のさらなる強化・発展に繋がる大きな第一歩となりますよう、衷心よりご祈念し、歓迎の祝辞とさせていただきます。


日系人の本分を発揮へ=ブラジル日本文化福祉協会 会長 木多喜八郎

 安倍晋三総理大臣ご夫妻におかれましては、ブラジル公式ご訪問の、正に秒刻みの、お忙しい日程の中で、私共日系社会のために貴重な時間を調整くださいまして、誠に有難うございました。一同心から感謝申し上げております。
 今回の安倍総理のご訪問は、日本とブラジルの経済協力・友好関係の強化が一段と高まり、世界の現状を反映した新しい日伯関係の構築に向かっての第一歩が刻まれた、歴史的ひと時であったと思います。
 安倍総理御夫妻の今回のサンパウロご訪問は、その力強い連携に向かって必要不可欠な要素である、両国の信頼関係を100年以上の長きに亘って築き上げてきた世界最大の日系社会の存在と重要性の確認ではなかったかと思われます。
 ブラジル日本文化福祉協会の史料館9階の広間で行われた懇談会並びに皇太子殿下ご来伯記念大講堂での歓迎式典でのご挨拶においてそのことがはっきりと表現されたものと思います。
 懇談会はブラジルの政界で活躍する日系政治家、主要日系団体代表者並びに若い世代で運営されている日系団体代表者の3グループに分かれて行われましたが、70名以上の様々な分野の人員が一堂に会して安倍総理をお待ち申し上げている様子は、正に、日系社会の現状と将来に向かっての方向性を示唆しているかのように感じられました。世代を超えた連携の必要性が感じられる場面でした。
 総理の強いご希望で、代表者一人一人と記念撮影が行われましたが、「共に歩みましょう」を言葉だけではなく実際に態度でお示しなされたご行為であり、一同に大きな感銘を与えました。と同時に、共に歩く責任の重さも感じさせられるひと時でした。
 1100人以上の大観衆で埋め尽くされた文協大講堂の歓迎式典でも参加者全員と記念撮影に臨まれ、日系社会一同に労いと心強い信頼感の気持ちを直接お伝えになりました。
 今回の安倍総理のご訪問によって日伯両国の経済貿易の発展が強化されることは申すまでもありませんが、私共にとりましてもブラジルと日本の経済貿易発展が促進されますことは日系社会の活性化に直接関係するものと信じております。
 来年2015年は日伯修好通商航海条約締結120周年の記念すべき年であります。1895年に条約が締結されてから13年後の1908年にブラジルに於ける日本移民の歴史が始まりましたが、両国の長きに亘る友好関係はその歴史を除いては語ることができません。
 安倍総理大臣は今回のご訪問でその友好関係を再確認すると同時に、限りない可能性を秘めた中南米諸国との経済連携の強化を図るためのプロジェクトを幾つも打ち出され、日伯両国の経済協力体制の更なる強化に向けて強い意欲を示されました。
 160万人を超えると言われているブラジル日系人がどのように安倍総理が掲げておられる日伯両国の世界的プロジェクトに参加し、日系人としての本分を十分に発揮活用できるかと言うことが大きな今後の課題ではないかと思います。
 安倍総理御夫妻のご訪問を契機にブラジルと日本の歴史的絆が益々揺るぎないものになります事を心から願っております。  


安倍晋三首相訪伯について=日伯文化連盟 理事長 中谷アンセルモ

 先の安倍晋三首相のブラジル訪問は、両国の絆をよりいっそう強固なものにする大変重要な出来事でした。今年は日本人のブラジル移住106周年であり、また来年は日伯修好通商航海条約締結の120周年にあたります。
 安倍首相はここブラジルでのすべての機会に、有能な政治家であることを人々に広く伝えることができました。日本は世界的複雑な力関係の中で、特にアジア、東欧、ロシアなどで、充分に重要な役割をはたしていると信じます。
 ブラジルとの関係では、これから大統領、州知事、上下院議員の選挙を控えているため、この時期は、政府高官との接見は難しいのですが、安倍首相の訪伯は大成功でした。今回、日本でも有数の大企業のトップが数百人同行しました。その大多数はブラジルにおける重要な投資をおこなっており、安倍首相はビジネスの面でもその威光を示したと確認しています。
 日伯文化連盟の理事長として、個人的に安倍首相お目にかかる機会を得たことはとても光栄なことでした。当連盟は60年の長きにわたり、日系人と非日系人を問わず、数万人に及ぶブラジル人に日本語教育と日本文化の普及に努めてきた非営利団体(NGO・NPO)です。最近は日本政府から助成金は受けておらず、学習者の月謝によって経営されています。
 2013年9月4日、岸田文雄外務大臣が訪問したおり、当連盟はピネイロス地区に本部建設(4500平方メートル、4階建て、地下ガレージ)のために日本政府に財政支援を求める要望書を手渡しました。
 この地区には地下鉄黄色線が一部開通し、引き続き、地下鉄工事にも日本政府は支援しています。本部建設が実現すれば、現在の高額なビル賃貸料から解放されます。
 日伯修好通商航海条約締結120周年記念にむけて、この「アリアンサ・文化センター」建設プロジェクトを開始する努力をしております。この新しい場所が日本文化に関連する活動を有意義に広げていくと願っています。なぜなら、文化こそが、ますます異民族間の関係を強固にできる基礎なのですから。それに従って、ビジネス関係も発展していくと思います。


安倍晋三内閣総理大臣をお迎えをして=ブラジル日本都道府県人会連合会 会長 本橋 幹久

本橋幹久県連会長 移民一世にとっては忘れることのない懐かしい母国日本、また二世以降の日系人にとっては自分のルーツの地として想いをはせる日本、その日本国のトップである内閣総理大臣安倍晋三様を、お迎え致し喜びにたえません。
 八月二日サンパウロでの公式訪問の一番は、県連が日系社会よりの募金を基に建立し、引き続いて管理している、「日本移民・開拓先没者慰霊碑」への献花、参拝でした。この慰霊碑は日本移民の心の拠り所でもあることも、ご理解いただけたものと思います。
 その後、日本館で念入りに植えられた植樹、三つのジュントスで日伯の更なる絆を訴えたビジネス・フォーラムでの講演、一人の制限時間一分間で緊張して説明した五団体との懇談会、そして文協大講堂での、日系人の存在によっての日伯間の魂と魂との交流実現のスピーチ、それに続く多くの希望者との写真撮影。この日一日の安倍総理の一連の言動に接するうちに、私はある言葉を思い浮かべました。
 それは「親想う心にまさる親心」です。子が親を思う心よりも、親が子を思う慈愛の心のほうが深いものだ、との意味あいですね。テレビで日本の災害や事故が報道されると心配になり、心が痛みます。何かに付けて母国日本の事が気に成り想いを馳せます。ところが母国はそれ以上に、子ともいうべき私たちの事を思ってくれていると言う事なのです。これに対し賛同されない向きも多いでしょう。しかし記者会見で「来るのが遅すぎた」とわびの発言をされた安倍総理は、子の心にまさる親心をお持ちと察します。
 私達県連は、この度の安倍総理の来伯に際し要望書を用意し、前もって総領事館に仲介の労をとって頂くよう提出しておりました。その要望書は二項目あり、その第一は、「県が受入となる留学生、研修員制度を国の支援で実施して頂く」と言うものです。
 これは今まで行われてきている県費留学生、技術研修員制度とは趣が異なります。初めの一年間は今までの制度と同様に、専攻の科目で大学での修学、企業での研修ですが、二年目が異なります。各県がブラジルに対して行動をとる際に、謂えばブラジル側の窓口として適切に活動できる要員を育てる研修をすることです。日本語学習も必修とします。
 これは安倍内閣が今後各県の地域活性化の為に実施していく政策に対応していくもので、地域の産物の輸出、中小企業の海外進出、観光事業の広報等の、対ブラジルでの有力な戦力と必ずやなりましょう。これによってブラジルの県人会の活性化にも成り、それが日系社会の活性化にも繋がります。母県と各県人会の絆は強まり、母県にとっても相乗効果が期待できましょう。
 要望書の第二は、「県連主催の日本祭りに対する支援」です。この支援は二点の内容に別れます。第一点は先ず日本国の顔が見える形での参加です。正味二日半で18万人も集客する世界最大規模のこの種のイベントを、東京オリンピックを控え、物造り、和食、おもてなしにつながる観光等々、そして真の日本文化を正しく紹介するためにぜひ参加して頂きたいのです。
 また今年の第17回では連邦、サンパウロ州、サンパウロ市より公的は支援を総予算の20パーセント近く得ております。よって日本政府機関もその顔が見える形で参加して頂きたいのです。第二点目は、日本の各県の活性化の政策と相まって、日本祭りで各県各地の物産展、或いは文化展を実施することに具体的に支援して頂きたいのです。これを毎年継続的に実施することで、各地の活性化にも必ずや寄与すると考えます。
 実は、慰霊碑に献花して頂いた後安倍総理を日本館までご案内いたす途中で、この要望書に就いて話しかけたところ、即座にすでに聞き及んでいるからと言って頂きました。
 今回の安倍総理のブラジル訪問は、日本、ブラジル相互、それに日系社会関係においても、より一層理解を深め、絆もされに強固になったことは間違えありません。そして来年の日伯外交関係樹立120年を期にさらに大きく前進することを祈念いたし、安倍晋三内閣総理大臣のご来伯に心より感謝申し上げます。


日伯関係の新幕開けに期待=ブラジル中西部日伯協会連合会 会長 安永 邦義

ブラジリア安永連合会長 先般、待望の安倍晋三内閣総理大臣閣下ご夫妻のブラジル連邦共和国ご訪問が実現され、在ブラジル日本国大使館に於けるご歓迎会に於いて、ブラジリア連邦区、ゴイアス州並びにミナス州西部に在住する日系社会の方々と共に、安倍総理大臣閣下ご夫妻とお目にかかり、若いパワーと親しみに溢れるお言葉を頂き、ブラジル中西部日伯協会連合会を代表して感謝申し上げます。
 現在でも「最近の事実」のように私達の記憶に深く刻みこまれている2008年の「ブラジル日本移民百周年」式典から既に6年の歳月が経過し、新しい百年への歴史が始まりました。
 そして来年は、日伯外交樹立120周年を迎える重要な年であり、今回、安倍総理の御訪伯が実現できたことは、「120年の日本~ブラジルの絆」を更に深める原動力であると確信して居ります。
 「絆」は「人と人」の信頼関係が要であり、それは戦前前後を通じて日本人としての誇りを持って移住してきた、私達の先祖に築き上げていただきました日系社会の並みならぬ努力、素晴らしくかつ伝統的な日本文化、真面目な性格、道徳、子孫に対する指導等の歴史を基盤として築いた賜物です。それが、安倍総理大臣閣下から、ご訪問された各地で強調されましたことは、日系社会にとって大きな喜びと誇りであります。
 百数年間の日本~ブラジルの官民経済協力関係は、主として「先進国~発展途上国」間の政策的開発援助であったと云っても過言ではないと思います。その結果はブラジル連邦共和国をBRICSの主要国、G20への仲間入り、世界の食糧安定化にも大いに貢献する大国として世界の注目を浴びる成長を成し遂げることができました。
 従いまして、今回の安倍内閣総理大臣閣下のブラジルご訪問は「新しい日伯関係の幕開け」であると云う感想を抱いて居り、その段階的発展に大きな希望を持つ次第です。
 即ち、「先進国~発展途上国間の関係」から「両国間の相互関係の重要性」に目標を置く新しい時代のスタートです。 日本とブラジルは120年の友好関係と共に、「相対的な相互依存関係」に富み、有意義なパートナー・シップを結ぶに最適な両国です。地理的な長距離を、人と人の友好関係、信頼性、文化交流の継続、貿易経済関係の更なる活性化でカバーし、友好関係、経済的に「有望かつ不可欠なパートナー」として持続的な展開を切望しつつ、私の喜びと感謝の言葉に代えさせていただきます。


総理令夫人の御来駕を賜った喜び=ブラジリア日本語普及協会 理事長 三分一貴美子

Sambuichi Kimiko 「日本国内閣総理大臣令夫人安倍昭恵様の御来駕を賜りこの上ない喜びに浴し、ありがたく光栄に存じます」と御挨拶申し上げました。8月1日9時20分、ブラジリア日本語モデル校にて行われた「昭恵文庫並びに記念品贈呈式」における冒頭の一節です。
 日本国のファーストレディであこがれの的となられている方が、このモデル校を訪問の対象と、どのように考えても私共にとっては天地がひっくり返るような驚きをもってお待ち申し上げておりました。
 在伯日本国大使館の梅田大使夫人、係りの方々が事前の準備をそれ相当に念入りになさっていました。
 当日、日本語普及協会の会員校代表者、理事会メンバー、教師、書道講座の学習者、生け花草月流ブラジリアスタディーの会員代表者が揃って、講堂の中心に椅子を輪の形にして拍手をもってお迎えしました。
 最初に御挨拶を申し上げましたが、その間手の震えが止まらず、緊張の度合いが増してきました。昭恵文庫贈呈の一冊を受け取った時も身体がこわばったままでした。
 当、普及協会からは記念品としてペンダントの宝石を用意しました。今年はワールドカップがブラジルであり、黄色のサッカーシャツの感動とブラジルの国花黄イペーの写真を添えて、黄色の思い出を持ち帰って頂きたく「Topazio Amarelo」にいたしました。
 総理令夫人はお掛けになってから箱を開けお喜びのご様子でした。
 昭恵夫人の御挨拶の中で「遠く離れたブラジルで日本語を教えるという大事な仕事をこれからも続けてください。戦前、戦後、移住された方々は計り知れない困難の中を通ってこられ、そのご苦労が報われ、多くの日系人、それも優秀な方々が育ち、こうしてブラジルの社会に貢献していることは、日本にとってどんなに心強いことでしょう。日本語教育にこの昭恵文庫を活用してくださることを願っています」と結ばれました。
 当、普及協会は設立当時から、図書の充実を重要視して、可能な限り書籍の増冊に(特に日本語教育分野)努めてまいりました。
 この度の昭恵文庫の贈呈により一段と図書室の価値が高まった感がいたします。それは日本文化に関する幅広い選ばれた本であるからです。
 総理令夫人の日本語教育に対する理解、日本文化の多岐にわたる造詣の深さをひしひしと感じ入りました。そして、ご自身が出版した「どういう時に幸せを感じますか」「日本のおいしいもの」を手にとったとき、私は教師職でありながら、一介の主婦の役目があり、女性の本能を揺さぶられる思いがいたしました。
 女性であるがゆえに根底にある家族への慈しみをこの本で再現していると感じました。そして、一つ一つの出会いを大切にする、そのことによって人は人間性を高めることになり、誰からも愛される人格形成に育まれていく、その姿勢に感服さえいたします。
 この度の図書は冊数にして63冊を数え、本棚には「昭恵文庫」と銘をかかげました。
 当、普及協会が目指す日本文化普及には欠かせない図書、教師にとっては最良の師であると共に近くにあることによって知的財産の積み重ねが可能です。「我が師を得たり」この一言、胸に刻みました。
 総理令夫人安倍昭恵様に感謝の念を捧げ、厚く御礼申し上げます。


先人の労苦、背中の荷下りた思い=ブラジル山口県人会 会長 要田  武

【山口】要田会長 安倍晋三首相のご来伯をブラジル山口県人会会員一同、心よりお待ち申しておりました。29年ぶりに日本国内閣総理大臣として、中南米歴訪の最後にサンパウロにお立ち寄り頂き、また、サプライズで県人会館をもお訪ね頂き、感謝、感激の極みであります。
 この度、山口県人会館前での総理大臣歓迎サプライズの功労は青年部であります。青年部は郷土の首相に歓迎の意を表したく日伯両国旗の小旗を作り、振って歓迎をすることを考え、当日文協から首相のお車がお帰りの時、サンジョアキン街とタグア街との交差点でお車の方向まで見極めるという努力まで致しておりました。
 私が、文協大講堂の歓迎会が終わり、サンジョアキン街に出てみますと、先導の白バイが県人会方面のタグア街へ曲がっておりました。一瞬頭に青年たちの「左回り」の言葉が浮かび、あまりの嬉しさにどのようにしてあの急な坂道を駆け上ったか、県人会館に着いた時には、首相はもう青年部の黄色い声援と、日伯の旗に囲まれておられました。「どうぞどうぞ」の声に促され首相は会館内までお入りになりました。
 首相は昨年の安倍父子展で作りました「ふるさと油谷湾」の8m×4mの大パネルをご覧になり「あっ、僕の田舎だ。なつかしい」と驚いたように言われました。その時「首相は、やはりふるさと山口をお忘れではなかった」と、皆、目頭が熱くなりました。

1日午後、ブラジリアの日本国大使公邸で首相と約200人の地元日系団体代表らが懇談をした様子(Credito Matsuda/NIPPO Brasilia)

1日午後、ブラジリアの日本国大使公邸で首相と約200人の地元日系団体代表らが懇談をした様子(Credito Matsuda/NIPPO Brasilia)

 総理のふるさと油谷地方は、早くより移住者が多い地方で、第一回旅順丸には3家族、また続けて4家族、5家族10家族と移住者を出した地方です。明治時代の終わり、奥地へ入って開拓すれど食べ物もなく、大人も子供も亡くなった人が多いと聞き及んでおります。ですが、首相に県人会に来て頂き、油谷のパネルを見て頂き、ふるさとが共有でき、当時の彼らの苦労の事を思うと、私自身、背中の荷物が一つが取れたようで感無量でした。
 お帰り際には、首相はは丁寧に一人ひとり青年達に握手をして頂きました。青年部曰く「ノッサ、コモ、シンパチカ」(なんて社交的な)と言っておりました。きっと青年部の皆が、父親になり祖父母になっても8月2日の事は忘れないと思います。首相の握手のお蔭で、周防と長門の国山口県の防長精神は、より強く青年部に受け継がれていくと確信をしております。
 今後ともブラジル山口県人会はお年寄りを大切に、青年部に防長精神を伝え、山口県の窓口として元気に頑張って参る所存であります。

首相夫人(左)から昭恵文庫を寄贈してもらい、喜ぶ矢田正江副理事長(中央)、三分一貴美子理事長(右) [Foto Haruo Mikami]

首相夫人(左)から昭恵文庫を寄贈してもらい、喜ぶ矢田正江副理事長(中央)、三分一貴美子理事長(右) [Foto Haruo Mikami]

 安倍晋三首相のますますのご活躍を、地球の反対側より、応援致しております。
 後から考えませば、アマゾン支部、カンポグランデ支部、ドラードス支部、ポルトアレグレ支部等の方々にもお集まりを頂きこの喜びを分かち合いたかったと後悔仕切りですが、当日の余りの感激に拙い筆を走らせました。

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