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商議所=中野慶昭教授が講演=「ブラジル経済成長への鍵」

 ブラジル日本商工会議所(藤井晋介会頭)は10日、サンパウロ市内のマクスードホテルで「10月定例昼食会」を行い、約180人が出席した。ジェトゥリオ・ヴァルガス財団大学院の中野c教授が「ブラジル経済成長への鍵」と題した講演を行った。
 中野教授は、ポン・デ・アスーカルグループの経済部や旧サンパウロ州銀行で要職を務め、政府機関でもサンパウロ州政府当局首席長官、科学技術局の首席長官、財務省の政策経済センター責任者を歴任した。現在は同財団で農業開発学を教えている。
 講演では、「ブラジルのGDP成長率を新興国平均の4%に上げるためには、GDPの25%以上を投資に使わなければいけない」と主張。インフラ整備に関しても、「GDPの7%を30年間投資し、総額一兆ドルの投資をすることで競争力を向上させなければいけない」と語った。
 また「高金利は金融業界、投機家には良いが実業家、製造業者には不利である」と金利の高さについて苦言を呈し、政策誘導金利(Selic)の終了、安定した為替相場の創出が必要であると強調した。
 当地では金利の影響を受けにくいサービス業などが成長を維持し、製造業部門のGDPに占める割合は後退し、非工業化が進んできているとも指摘した。
 近年、5千万人に達したC層と呼ばれる経済人口層について「彼らは実用主義者であり、どの政治家が国のためになるかをイデオロギーに左右されず選ぶ。財政改革の原動力はこの層が中心となる。ブラジルの現状は残念なものであるが、未来は明るいと思う」との展望を示した。

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