ホーム | 日系社会ニュース | 広島県人会=節目の年に新体制スタート=シャッパ二つで激論2時間=不満噴出し平崎新会長就任
安どの表情を見せる平崎新会長(左から2人目)ら新役員
安どの表情を見せる平崎新会長(左から2人目)ら新役員

広島県人会=節目の年に新体制スタート=シャッパ二つで激論2時間=不満噴出し平崎新会長就任

 ブラジル広島文化センター(大西博巳会長)が22日、同会会館で第59回定期総会を開き、会員ら約70人が出席した。会創立60周年と終戦70周年を迎える同会だが、役員改選では現会長派と、それに不満を持つ平崎靖之副会長派の2シャッパが提出された。不満や疑問が噴出し長時間にわたって議論された挙句、最終的に平崎氏を会長とするシャッパが信任投票で承認され、ドタバタするなかで節目の年の新スタートを切った。

 午前10時に始まった総会では、まず開拓先亡者や戦争被害者に黙祷、14年度の活動内容として創立式典に関わる準備、神楽公演、中国ブロックの合同行事などが報告された。昨年の収支は収入50万2145・20レ、支出41万7530・82レだった。
 15年度の事業として創立式典(10月25日)を計画しており、予算案では支出の多さに疑問が投げかけられた。収入67万レに対し支出は103万7千レ。会館修繕(28万レ)、式典(20万レ)、記念誌(6万レ)が主な要因で、事務員給与も約8万7千レから15万に増額した。
 「常駐事務員を雇い会館修繕や運営を期間限定で担当してもらう」という発案に大西会長らから不満がもれた。しかしこの予算案は理事会で承認されているもので、混乱がうかがえた。理事らは「あくまで枠組み。必ずしも使うものではない」と理解を求め、「理事会で詳細を詰め結果通達を」という会員の希望を受け、昼12時過ぎにようやく収束した。
 その後の役員改選では、大西派と平崎派のシャッパが公表された。涙ながらに「対立を避けべき」と訴える会員もあり、激論の末ようやく選挙に移ったのは2時間経ったあとだった。
 現行体制への決定的な不満要素は、大西会長による「独裁政権」(平崎派談)だった。その事例の一つが、好評だったのに中止されたデイサービス「もみじの会」だ。
 9年間も同事業に関わった平延康子さん(70)は「(大西会長は)古くなったガスコンロや冷蔵庫の新調を渋った。会員が『自費で買う』と言っても『置く場所がないから』と拒否された」と13年にやむなく中止した経緯を話した。加えて理事会で長時間議論して決まった内容が、会長判断でひっくり返る場合が多かったとも。
 立場が苦しくなった大西会長は、「会員でない地方の人物が平崎派に記載されている」と指摘すると、平崎派も「大西派は期限内(20日午後6時)にシャッパ提出していない」と詰め寄った。
 緊迫した硬直状況に痺れを切らした会員が席を立ち、昼食を準備するという形で無言の抗議をはじめた。最終決断を迫られた選挙管理委員が一転、大西派のシャッパ提出を認めず、午後2時半を過ぎた頃に信任投票という結末を迎えた。全57票のうち賛成39、白紙12、大西派の6票は無効扱いとなった。
 新役員は以下の通り(敬称略)。【会長】平崎靖之【副会長】村上佳和、中森紳介、重田エルゾ、吉弘ロベルト、梶原パウロ【会計】石井公男、ニシモト・マルコ【書記】小田シゲオ

【大耳小耳コラム】
 広島県人会の役員改選で、選挙に至るまでには時間を要した。最終結論が「大西派シャッパ無効」となるとは、最初は誰も思ってなかったかも。総会前に、選挙管理委員が会議を行なったそうだが、そこでその結論に達することはできなかったのか。最初から「無効」であれば、2時間超の議論も全く不要だった気が…。新体制には〃民主的〃で、透明な運営に期待か。
     ◎
 任期を終えた大西博巳前会長は、「役員会などで普段から顔を合わせている面々が、知らない間にシャッパを作っているとは」と落胆。ただし最後には「40年以上前に広島大学へ留学した経験が、これまでの人生に役立っている。お礼する気持ちで今までやってきた」と会への感謝を口にし、2001年からの〃万年会長〃の座をしぶしぶ退いた。

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