ペトロロンに抗弁してジウマ大統領は「もし1996、7年に捜査し処罰されていれば、ペトロブラス職員が20年間も汚職を続ける事態はおきなかったろう」とFHC政権のせいにする発言を始めた▼昨年8月、人気急上昇したマリナ大統領候補を叩くために、「中銀の独立性を高める」と彼女が言った揚げ足をとって、PT陣営が「中銀をバンケイロ(銀行経営者、富豪)の手に委ねたら庶民の食卓から食べ物がなくなる」との否定的宣伝を繰り返した手法に似ている▼その宣伝の考案者は、6人の大統領を当選させた選挙戦略家ジョアン・サンタナ氏で、民衆の愛憎心理をゆさぶる政治宣伝を考えだす名人だ。いまも語り草なのは、支持率わずか2%だった亜国の州知事候補やブラジル上議候補を当選させた〃剛腕〃ぶりだ▼昨年7月、W杯終了時のジウマ政権への評価は「良い」32%、「悪い」29%と最悪レベルだった。その状態から選挙宣伝によって昨年10月の決選投票までに「良い」42%、「悪い」20%に大幅改善した。評価を変えた人々は〃騙された〃ともいえる▼「水不足はない」「電力は十分」「税金は上げない」「経済堅調」「司法の自律性が高いから汚職が多く見つかる」等々の宣伝の〃真相〃に、選挙後にようやく国民は気づいた。2月頭現在で「良い」23%、「悪い」44%と過去最悪になった。これが本来の数字だったかもしれない▼民主主義の基本が選挙である以上、有権者の判断レベルが問われる。どんな層が騙されやすいのか―をサンタナ氏はよく知っている。今回の国民の学びが次回選挙で活かされるのかどうか。未来はそこにかかっている。(深)