サンパウロ市東部=車線分離帯に木々を植える=緑化計画の一環と市長
フェルナンド・ハダジ・サンパウロ市長(労働者党・PT)はバスレーン、自転車レーンの設置の後、東部のシダーデ・パトリアルカ地区の道路に、新たな緩衝帯を設けた。
パトロシニオ・パウリスタ大通りに導入されたパイロット・プランは、同大通りの中央部のアスファルト70カ所に穴を開け、70本のイペーの苗木を植えて車線を分けるというものだ。
木は本来道路中央分離帯のあるべき場所に植えられている。車線の分離のために木を植えるテスト計画は、電線や歩道を歩く歩行者の邪魔をせずに市内の緑化を推進することを願うハダジ市長の主導の下に行われた。
しかし、産業技術大学のクレゾ・フランコ・ペイショット教授は、公共の道路に直接木を植えるのは一般的ではなく、コンクリートの手すりや高めの縁石を道路の中央に設置して車線を分けることを薦める。「大通りを走る車の速度は時速40キロ以上、小さい車がぶつかっただけでも衝撃はかなりのものだ。それに、今回の計画の対象となった大通りは上りや下りにカーブもあるから、スリップが起きやすいし、視界も遮られる」と語る。
サンパウロ市側は植えられた木は根がまっすぐ伸びる種で、横に伸びて舗装を痛める心配が無いとしている。「アスファルトに木を植えることは緑化対策の一つで、欧州やカナダでも同様のプロジェクトがある」とサンパウロ市緑化環境局のヴァンテルレイ・メイラ・ド・ナシメント氏は語る。
「木は歩道を塞いでしまう。車椅子などを使う人は特に、歩道が狭くなれば、通るのに一苦労する」とハダジ市長は道路の中央に木を植えようと考えた理由を説明する。同市長は、14年12月29日の強風で市内では約300本の木が倒れ、近くの電線にひっかかって停電を引き起こしたことにも触れた。
サンパウロ市内の公道に植えられている木は100万本にも満たず、同市長はこれを「とても少ない」と見ている。また、多くの木々は公園や環境保護区に集中しており、緑化のバランスも悪いという。
この計画を他の地区に広げる可能性も検討されている。サンパウロ市は15年の上半期を使って同様のテスト計画を実施し、市内の再緑化計画を進める意向だ。
サンパウロ市役所は、ハダジ市政(2013~16)の目標の一つとして、90万本の苗木を公共の散歩道や道路中央分離帯に植えることを掲げている。(12日付、エスタード紙より)