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沖縄風歌曲「童神」を現代風に解釈して踊るファビアナ・ヒガさん
沖縄風歌曲「童神」を現代風に解釈して踊るファビアナ・ヒガさん

120周年で初期移民を顕彰=若手日系人が「縁」公演

外交樹立120周年ロゴ

外交樹立120周年ロゴ

 日系三、四世の若者が「先祖に感謝を伝えたい」との想いから「エン・ラッソス」(水本エリアネ代表)を結成し、先月29日、サンパウロ市リベルダーデのFECAP劇場で外交120周年記念公演「縁―運命の絆」を行った。400人収容の会場はほぼ満席になり、観客は若手の新たな試みを温かい目で見守った。
 「最初は日本語への抵抗がすごくあった。でも日系人としての自己に目覚めてから、言葉を覚えなかったことを後悔した―」。開幕前、主催者らがアイデンティティの確立に悩んだ青年期を振り返る映像が流れた。今20、30代を迎える彼らが行き着いたのは「日伯文化の融合そのものが私たち」との結論だった。

笠戸丸で日本を旅立つ移民を表現したシーンも

笠戸丸で日本を旅立つ移民を表現したシーンも

 日本移民の旅立ちをイメージし、タイセ・ルシェッタさんが日ポ両語で歌う「蛍の光」の映像で優雅に開幕。グルッポ民、太圭流華の会、琉球國祭り太鼓、優美をはじめとする約60人のアーティストが、民謡あり、舞踊あり、現代ダンスありの芸能祭を繰り広げた。
 幼い子どもたちも、母親と一緒に「ぞうさん」などの童謡に合わせて踊り、会場を沸かせた。二人がかりの巨大な獅子舞が観客席に乱入すると、大歓声が上がった。舞台の背後には、各演目に合った日本の風景がスクリーンに映され、舞台に華を添えていた。
 最後は琉球國祭り太鼓による軽快な「五穀豊穣」の演奏で締めくくり。会場は総立ちで拍手を送った。
 飯塚光子さん(69、二世)、宣治さん(74、新潟)夫妻は「表面には出さなくても、移民は皆すごく苦労している。先祖があるから今の私がある」と初期移民への感謝の気持ちを新たにしていた様子だった。
 屋良藤子さん(76、二世)は「孫が『秋の踊り』(沖縄民謡)に出演したので見に来た。とてもよくできていた」と孫の成長を喜んだ。
 発起人の水本さん(31、四世)は「愛と感謝を込めて舞台を作った。たくさん良い反響があったので本当に嬉しい」と振り返った。10月にクリチーバで次の公演を予定している。サンパウロ市での再公演を求める声もあり、「これからも続けていきたい」と話した。

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