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なぜブラジルで本格派演歌歌手が誕生したのか!?

 今回の編集部ブログでは、活躍が期待されるブラジル人演歌歌手を紹介します。
 みなさんは、ブラジルに多くの日系人が住んでいることを御存知でしょうか?
 ブラジルにはたくさんの日本人移民が来た過去があります。これは単なる移住ではなく、国策としての「殖民」と呼ばれるもの。
 古くは1908年、笠戸丸という移民船でブラジルに渡った781人に始まり、70年代に集団移民が終わるまで、なんと25万人以上が移住しました。
 そのため現在のブラジルには、たいへん多くの日系人が住んでおり、サンパウロだけでも100万人以上と推計されています。
 演歌も人気でカラオケ好きな日系人も多く、各地で開かれる大会では、プロ顔負けの歌声も披露されます。
 そのため、日本デビューを目指す歌手が時々現れます。
 ただ、現状は日系3世、4世、5世の時代になっており、若い人で日本語を流暢にしゃべる人は少なく、読み書きまでスムーズに出来る人はさらに稀です。
 歌が上手いブラジル人(非日系人)もいますが、日系人以上に日本語は苦手。
 そのため日系でも非日系でも、どちらにしても日本語がネックになるためか、日本の芸能界で大きく成功した歌手の話は耳にしませんでした。(日系三世のマルシアさんくらいでしょうか)
 そんな中、日本でデビューする歌手の話が編集部に飛び込んできました。
 それも非日系ブラジル人の男性演歌歌手。それが今回紹介するエドアルド(EDUARDO)さんです。

エドアルドさんから本紙に送られたデビューCD

エドアルドさんから本紙に送られたデビューCD

 彼は先日、東京のイベントで歌を披露しました。NHK歌謡コンサートにも出場する予定です。

【関連記事】演歌歌手 エドアルドさん=デビューイベントに1千人=11月17日午前にはNHK登場

 このエドアルドさんはサンパウロ出身のブラジル人なのですが、なぜ非日系の彼が、演歌歌手として日本でデビューすることになったのでしょうか?
 ちなみに彼は、演歌が上手いだけではなく、読み書きも日本人と遜色なく出来ます。
 メールのやり取りでは、
「運命を感じます」
「涙が止まりませんでした」
「確信を抱きました」
という、標準的な日本語はもちろん、
「歌の基礎を教えてくださった大の恩人」
「最も厳しくも、最大の愛を尽くして」
「長年にわたり磨いてくださいました」
と、敬語や丁寧な表現も使い分けて書いてきます。
 返信も早く、デビュー時期で忙しいはずなのですが、こちらが35個の質問を送ったところ、数時間後には長文の答えを送ってきました。
 最初は「後でメール送ります」と言っておきながら送ってこない人も、実は多いのです。日本人でも30個以上の質問に詳しく答えるのは大変なのに、その日のうちに返信してきたエドアルドさんには、二重の意味で驚かされました。
 また、好きな食べ物は?という質問に、「日本食全てです!」と答えるエドアルドさん。ある意味、日本人以上にニホンジン。
 そんな「あなたは本当にブラジル人ですか?」と言いたくなる彼ですが、いくつもの出会いによって、初の非日系ブラジル人演歌歌手となったのでした。
 詳しくは、こちらの記事にも書いてありますが、

【関連記事】エドアルドさん、伯人初の演歌歌手に=21日日本でCDデビュー=二人の母への想い歌い上げ

 エドアルドさんは1983年に生まれ、生みの母ジョゼッファさんは子育てできる状況になかったため、生後すぐ、日系二世のナツエさんの家にあずけられました。
 もしこの出来事がなければ、非日系の彼が日本語を身につけることも、演歌歌手を目指すことも無かったでしょう。
 というのも、お祖母さんの吉川ミサオさんとは日本語で話す必要があり、叔父の勝弘さんは演歌が大好き。
 家では日本のテレビの歌番組をテープで撮ってあり、それをずっと見ていたエドアルドさんは歌うことが好きになり、カラオケ大会に出場するようになったのです。
 13歳でサンパウロ市の北川彰久さんに師事、歌の基礎を徹底的に学ぶことに。
 エドアルドさんいわく、
「僕の悪いところもいいところも全て分かっており」
「一つの音の外れがあればすぐに音楽を止めて最初から歌い直す」
という、厳しいレッスンを繰り返したそうです。
 また歌のみならず、日本の礼儀作法、そして日本語の正しいアクセントを学び、さらにカラオケ大会の司会で日本語を鍛えました。

北川郎久さんとブラジル日本アマチュア歌謡連盟の北川好美会長

北川郎久さんとブラジル日本アマチュア歌謡連盟の北川好美会長

 本紙が北川さんに取材した際、徹底的に日本語を身につけさせた理由として挙げたのが、日本語力が低いから、歌が上手くても芸能界で成功できないということ。
北川さんは
「司会者が話しかけてくれてるのに、あっち向いてたら、そりゃ成功できないよ」
「台本も読めないといけない」
と、日本語の重要性を語りました。
 私もブラジルに住んで分かったのですが、日本語がスムーズにしゃべれる日系人でも、読み書きが堪能でない人が多いのです。
 普通の日本人からすると、「日本語が話せるのなら読み書きもできるのでは」と思いがちですが、ブラジルに日系社会ではむずかしいのが現実です。
 あたりまえですが、ブラジルの公用語はポルトガル語ですから、通常は読むのも書くのもポルトガル語。
 そのなかで、エドアルドさんの日本人と変わらない日本語能力はすごい。彼が芸能界で活躍するために、大変大きな助けになると思います。
 デビュー曲の「母きずな」(作曲・あらい玉英さん、作詞たきのえいじさん)ですが、11月13日現在、YOUTUBEで2万4000回再生されています。
 初めて知った方は一度、その歌声を聴いてみてください。(将)

 

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