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映画化に着手した三宅さん
映画化に着手した三宅さん

ドナ・マルガリーダ映画化へ=ブラジルらしい愛と信仰の物語=資金協力、情報提供呼びかけ

 「ドナ・マルガリーダの素晴らしい人生を世界中の人に知ってもらいたい」――。有限会社・三信インターナショナルの三宅信史代表が4日来社し、戦中戦後に多くの同胞を救済したドナ・マルガリーダ(渡辺トミ・マルガリーダ、1900―1996、鹿児島)の人生を映画化する件について、進捗状況と意気込みを語った。資金面での協力要請に加え、ドナ・マルガリーダが生きた時代を再現するための情報提供も呼びかけている。

 

晩年の渡辺トミ・マルガリーダ

晩年の渡辺トミ・マルガリーダ

 「映画化実現までは、まだまだ茨の道です」と手綱を緩めない三宅さんだが、すでに3本の映画製作に携った経験があり、今回もすでに〃手ごたえ〃を感じているよう。製作に関わった映画『0からの風(vento do Zero)』(07年、塩屋俊監督)はサンパウロ国際映画祭の招待作品にもなった。
 三井物産の社員として数々の巨大プロジェクトに携わって日伯を往復してきた三宅さんだけに、来伯回数は軽く100回を超えるという。
 今回はドナ・マルガリーダをめぐる愛と信仰の映画にしたいと話し、「彼女が成長する過程で繰り広げられるブラジルならではの人間模様を描く。日本人とブラジル人だけでなく、イタリア人やドイツ人神父が登場する多国籍の物語は、ここが舞台だからこそ可能。これを映画の縦糸にしたい」と構想を話した。
 ドナ・マルガリーダは戦中に敵性国民として拘置された日本移民の救済活動を手始めに、「憩の園」創立発展に生涯を捧げた。「移民の救済事業で大きな功績を残した反面、彼女は夫も子供も先に亡くしています。妻として、母親としての彼女が経験した愛情物語を横糸として、縦横に広がる映画にしたい」と展望を語った。
 映画化のきっかけは、彼女の生き様を知って衝撃を受けたからという。介護事業も手がけている三宅さんは、「国策として移民を奨励したにも関わらず、高齢移民を放置してきた日本政府。しかし政府に憤りをぶつけるでもなく、淡々と人々を助け続けるマルガリーダの姿勢に感動しました」と強調した。
 ロケ地の大半はブラジルになる予定。三宅さんは「製作スタッフの大半もブラジル人になるのでは」と話し、実績のある日本の有名監督と話を進めていると明かした。さらに「日本人監督に加えて、ブラジル人監督が必要になる可能性もある」と語る。
 情報提供も歓迎しており、特にドナ・マルガリーダが奉公に入った家族の消息や、憩いの園創設時の関係者について詳しい情報を求めている。
 時代設定が1911年から戦後に至るため、当時の町の風景や医療器具などを再現する必要もある。時代考証のため、ドナ・マルガリーダが生きた時代の写真などを求めているという。
 映画製作には多大な費用がかかるが、資金集めはこれからだ。ルアネー法(企業が文化事業に連邦税の一部を充てる寄付免税制度)の活用も検討しているという。
 問い合わせ、情報提供は「ドナ・マルガリーダの生涯」事務局の嶋田さん(is@is-field.com)まで。